ミルクサイエンス
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49 巻, 2 号
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原報
  • 木原 行啓, 大谷 元
    2000 年 49 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2000年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     市販飲用牛乳にトリプシンを作用させ, その12%トリクロロ酢酸可溶性分画に塩化カルシウムとエタノールを加えてカゼインホスホペプチド (CPP) を沈殿させた。一定量の牛乳タンパク質から生成するCPP量は, 牛乳の殺菌温度が80℃以上になると, 生乳からの場合と比べて最大で約25%減少した。しかし, 生乳および市販飲用牛乳から調製されたすべてのCPPは, 逆相高速液体クロマトグラフィーにおいて類似した溶出パターンを示し, αs1–カゼインの59–79域, αs2–カゼインの1–32域およびβ–カゼインの1–25域に相当するペプチドが各CPP標品中の約半分, 或いはそれ以上を占めた。また, 調製したすべてのCPPは, マウス脾臓細胞に対してマイトージェン活性を示すとともに, B–およびT–リンパ球マイトージェンで誘導されるマウス脾臓細胞の増殖を顕著に促進した。
  • 大平 猪一朗, 田村 隆, 黒川 一, 中上 博美, 稲垣 賢二, 田中 英彦
    2000 年 49 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2000年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     マレーシアの発酵食品テンペから単離された乳酸菌Enterococcus faecalis TH10の培養液中に出血性病原大腸菌O–157の増殖を抑制する活性が見つかった。乳酸菌には抗菌性ペプチドであるバクテリオシンを産生する株がいくつか知られており, とくにE. faecalisのバクテリオシンには哺乳類の赤血球を溶血する作用が知られている.しかしテンペから単離されたE. faecalis TH10の抗菌活性成分はヒトおよびウサギの赤血球サンプルに対する溶血活性はなかった。また本菌の活性成分はプロテアーゼやペプチターゼの処理を受けても抗菌活性が低下せず, 近縁の乳酸菌に対する抗菌活性も低いことからバクテリオシンとは異なる部類の抗菌物質であることが示された。E. faecalis TH10からUV照射により抗菌物質生産能が高くなった突然変異株E. faecalis TH40を誘導した。この変異株の産生する活性物質を各種カラムクロマトグラフィで精製, 結晶化し, こはく酸として同定した。E. faecalis TH40はこはく酸の他にも中性の抗菌活性成分も産生していたのでその精製も行ったが, 精製途中の回収率が低いために単一物質になるまで精製はできなかった。
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