ミルクサイエンス
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55 巻, 3 号
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原報
  • 河合 恒彦, 荒木 哉衣, 木田 博子
    2007 年 55 巻 3 号 p. 121-127
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
    Geotrichum candidum 様酵母に注目し,これをスターターに用いるカマンベールチーズ製造研究を通して,チーズの性質,レオロジー,化学成分の生成,酵母の形態学的特徴を報告してきた。Geotrichum candidum 様酵母は,フランスの伝統的製法の表面白かび熟成型チーズ,本邦産チーズ,奈良県,大阪府,北海道の酪農家産生乳より単離した17株で,菌株は本学生物学教室に保管されている。酵母の分類学的位置を明確にするため,形態学的性状の観察と生化学的性状の試験を通して同定をおこなった結果,17株の全てが Geotrichum 属の形態学的検索に相当したので,Geotrichum candidum に分類することができた。生化学的性状の判定も同様であった。
     これらの結果より,Geotrichum candidum であると同定された。
  • 津田 治敏, 原 和志, 宮本 拓
    2007 年 55 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     腸管定着性が期待される乳酸菌を用いたプロバイオティクス発酵乳製品の創製を目的として,中国内蒙古自治区の伝統的発酵乳製品から分離した乳酸菌122株の中からプロバイオティクス機能を有する乳酸菌を探索した。プロバイオティクス機能を有する乳酸菌の指標として,0.3%Oxgall 含有 MRS 液体培地で 6 時間培養後の生育度(OD620 nm),pH 2.0 と pH 3.0 に調製した人工胃液あるいは人工腸液に対する耐性を菌数変化により測定した。耐性に優れた菌株を選択し,生理・生化学的性状試験による菌種の同定,APIZYM による生産酵素の活性の測定および大豆ペプチドあるいは酵母エキスを添加した還元脱脂乳培地での生酸活性の測定を行った。試験の結果,0.3%Oxgall 含有 MRS 液体培地での生育度が60%,pH 2.0 に調製した人工胃液中で 3 時間後の生存率が71%であり,しかも人工腸液に耐性を示した乳酸桿菌301102株を最終的に選択し,糖類発酵性などの性状試験の結果からこの菌株を Lactobacillus plantarum と同定した。本菌の特性としてはロイシン-アミノペプチダーゼの強い活性を示したがその他のプロテアーゼ活性は見られなかった。また,胆汁酸に対する耐性は極めて高く20%Oxgall 含有 MRS 液体培地で生育した。生酸活性は,還元脱脂乳に大豆ペプチドあるいは酵母エキスを添加することで向上し,ともに24時間培養後の酸度が1.0%まで上昇した。これらのことから Lb. plantarum 301102 は発酵乳製品への応用が期待され,摂取後は生きて腸管に届き,プロバイオティクス効果を発揮すると考えられた。
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