ミルクサイエンス
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59 巻 , 2 号
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原著論文
  • 吉瀬 蘭エミリー, 松山 博昭, 細谷 知広, 小川 哲弘, 門岡 幸男
    2010 年 59 巻 2 号 p. 93-101
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     現代,ストレスは大きな社会問題となっており,ストレスによって引き起こされる疲労や免疫力,感染抵抗性の低下が疾患の発症に繋がることも指摘されている。これまでに,ラットの腹腔内に投与したラクトフェリン(Lf)は,精神的なストレスを緩和することが報告されている。そこで本研究では,消化酵素に耐性を示す鉄・ラクトフェリン(FeLf)をヒトに経口投与し,精神ストレスに及ぼす影響について検証した。
     ストレッサーとして用いた暗算作業負荷によりストレス反応が示された被験者24名を対象に,FeLf 833 mg を単回経口摂取するクロスオーバー試験を実施した。スーパークレペリンを用いた暗算作業負荷によるストレス反応は,心理調査,脳波,唾液中の各ストレスマーカーにより評価した。その結果,FeLf を摂取することにより中枢神経系および自律神経系における一時的な精神ストレス反応が軽減された。これらのことから,FeLf はストレス反応に影響を及ぼし,メンタル状態を改善することが示された。
  • ―オーヴェルニュ地域圏の酪農家の事例から―
    平田 昌弘, 清田 麻衣
    2010 年 59 巻 2 号 p. 103-114
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     The milk processing systems of 4 dairy farmers in the hilly terrain of south-central France were surveyed to clarify those characteristics and discuss the transition process of milk processing system in the cold and humid climate condition, of which the origin came from the dry areas of Asian Continent. The characteristics of milk processing system in the south-central France was the specialization for mature cheese making conducted by the technique of solidifying-additives using series. Although the technique of cream separating series had also been used in the region, all 4 dairy farmers don't currently adopt it because of its lower benefit than cheese making. Hence, butter was currently made not from cream, but from whey that was produced in cheese making. The technique of fermented milk processing series such as yogurt making wasn't also found in the surveyed 4 dairy farmers. It was considered that the main factors which specialize to the mature cheese making in the south-central France are 1) cool and humid climate conditions and resource uses for setting cool and wet conditions which make the cheese maturing possible, 2) the improvement of cheese conservation and cheese taste by maturing, 3) the higher benefit of mature cheese making, 4) the lower labor force by the centralization of mature cheese making.
  • 吉瀬 蘭エミリー, 上田 典子, 松山 博昭, 芹澤 篤
    2010 年 59 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     今日の目覚しい医学の進歩にも関わらず,女性を悩ませる月経痛や月経期の不定愁訴はほとんど改善されていない。乳ホエイ中の代表的な機能性タンパク質であるラクトフェリン(Lf)が月経痛を抑制することが知られている。よって本研究では,鉄イオンを安定に可溶化し,消化酵素耐性を付与した食品用素材である鉄・ラクトフェリン(FeLf)を用いて月経痛および不定愁訴の軽減効果をさらに検証することを目的とした。
     月経困難症を自覚している女性18名を対象として,FeLf(312 mg)またはプラセボ錠剤のクロスオーバー試験を実施した。各種評価は月経開始から 4 日間実施し,月経困難症が顕著である月経開始から3日間のスコアを用いて比較した。痛み,月経随伴症および生活に及ぼす影響について,それぞれ Visual analogue scale(VAS)法,Menstrual Distress Questionnaires(MDQ)法および Verbal rating score(VRS)法を用いて評価した。その結果,FeLF 錠を経口摂取した場合,痛みが有意に減少した。また,日常生活の質,すなわち QOL は,FeLF 錠を経口摂取した場合に有意に改善された。よって,FeLf は月経困難症を緩和し,QOL の向上に寄与する可能性が示唆された。
  • 石井 智美, 小宮山 博
    2010 年 59 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     モンゴル国ではゴビ地方でフタコブラクダが飼われてきた。伝統的にラクダを飼育してきたゴビ地方ではラクダ乳酒(ホルモグ)をつくってきた。ウムヌ・ゴビ県でホルモグを製造する遊牧民宅と,首都に近いダルハン・オール県で,新たにホルモグをつくり始めた遊牧民宅で調査を行った。ダルハン・オール県のホルモグの性状は酸度1.2%,pH 4.2,アルコール度1.5%で,ウムヌ・ゴビ県のホルモグと大きな違いは無かった。ホルモグの一般成分分析をした結果,アイラグと比べたんぱく質,脂肪,可溶性無窒素物が多かった。飲用量は成人男性で 1 日あたり 2~3 L,女性で 1 L だった。製造方法はスーダンのラクダ乳酒であるガリス,カザフスタンのシュバトと同様だった。スターターにはゴビ地方と同じく,ヤギ乳の発酵乳を用いていた。飲用には「健康に良い」「内臓の病気に良い」等の効能が伝承されていた。発酵に関与する微生物由来の代謝産物が,腸管で良い働きをするとともに,免疫賦活作用があると考える。ホルモグに伝承されてきた効能を科学的見地から明らかにすることは,民族飲料の価値について考えるきっかけになると思われる。
総説
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