ミルクサイエンス
Online ISSN : 2188-0700
Print ISSN : 1343-0289
ISSN-L : 1343-0289
59 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著論文
  • 蘇 敦, 白 宇, 双 全, 烏力吉徳力根 , 宮本 拓
    2010 年 59 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     中国内蒙古自治区の遊牧民の家庭で伝統的に製造されている 5 種類の馬乳酒試料から合わせて108株の酵母を分離した。分離した108株の酵母を同定したところ,乳糖発酵性酵母では Candida kefyr(21.3%)が最も優勢に分離されており,Kluyveromyces marxianus var. lactis(11.1%)も分離された。一方,乳糖非発酵性酵母では Candida krusei(18.5%)が主に分離され,Saccharomyces cerevisiae(14.8%)と Saccharomyces servazzii(14.8%)も多く分離された。また,糖発酵性のない Pichia cactophila(12.0%)と Candida valida(7.4%)も含まれていた。
  • 平田 昌弘, ヨトヴァ マリア, 内田 健治, 元島 英雅
    2010 年 59 巻 3 号 p. 237-253
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     本稿では,ブルガリア南西部の乳加工体系とその特徴を明らかにし,バルカン半島のブルガリアにおける乳加工発達史を論考した。ブルガリアの乳加工体系は,発酵乳系列群と凝固剤使用系列群の乳加工技術が確認された。ブルガリアの発酵乳系列群は西アジア由来の乳加工技術である可能性が極めて高く,冷涼性ゆえに水分含量が比較的高くても保存が可能なため,酸乳やバターの段階で加工が終了してしまうように変遷していた。塩水漬けにしてチーズの熟成をおこなうバルカン半島ブルガリアのチーズ加工技術は,熟成をおこなわない西アジアと熟成に特化したヨーロッパのちょうど中間的な位置にあり,ヨーロッパのチーズ加工の土台を形成した可能性が高いと考えられた。更に,レンネット利用がチーズ加工にではなくチャーニングによるバター加工用の生乳凝固に利用されていることから,もともとのレンネット利用は先ずバター加工に用いられ,後にバター加工からチーズ加工へと転用されていった可能性が高いと考えられた。これらのことから,レンネット利用によるチーズ加工の起原地の一候補地がバルカン半島であることが示唆された。このように,ブルガリアの乳文化は人類の乳加工史において極めて重要な乳加工技術を今日に伝えている。これらのブルガリアの重要な乳加工技術も,社会主義体制への移行・崩壊,EU 加盟を通じて,経営的に成り立たず,多くが消え去ろうとしている。ブルガリアは,EU という巨大経済圏に加盟したまさに今,自国の農業生産や文化の継承のあり方について問われている。
総説(受賞記念総説)
平成22年度日本酪農科学会賞 受賞記念総説
平成22年度日本酪農科学会奨励賞 受賞記念総説
平成22年度日本酪農科学会奨励賞 受賞記念総説
第 1 回 国際酪農連盟日本国内委員会(JIDF)光岡賞 受賞記念総説
  • 堂迫 俊一
    2010 年 59 巻 3 号 p. 283-294
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     筆者は国際酪農連盟日本国内委員会(JIDF)より第 1 回 JIDF 光岡賞を頂いた1)。受賞対象となった研究分野は牛乳機能性タンパク質に関するもので,具体的には κ-カゼイングリコマクロペプチド,ラクトフェリン,およびラクトパーオキシダーゼの機能と利用研究である。牛乳機能性タンパク質については多くの総説があるが,金丸2)や青木3)がまとめた総説が新しくて理解しやすい。全般的な概要はこれらを参照していただき,ここでは筆者らが実施してきた,あるいは関心を抱いた研究について,その後の新しい研究報告も踏まえ,あらためて考察してみたい。
平成22年度文部科学大臣表彰科学技術賞 受賞記念総説
モンドセレクション最高金賞 受賞記念総説
2010 IDF Dairy Innovation Awards, Best newcomer brand or business 賞 受賞記念総説
feedback
Top