ミルクサイエンス
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60 巻 , 2 号
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原著論文
  • ─カビを利用した熟成チーズの発達史論考─
    平田 昌弘, ヨトヴァ マリア, 内田 健治
    2011 年 60 巻 2 号 p. 85-98
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     本研究は,1)ブルガリア中央部バルカン山脈地域における乳加工体系を明らかにし,2)その特徴を分析すると共に,3)ブルガリア中央部の事例を通じてチーズの熟成の有無・カビ利用の有無の発達史を検討することを目的とした。バルカン山脈地域では発酵乳系列群と凝固剤使用系列群の技術が確認された。発酵乳系列群の乳加工技術は,食用の酸乳へと加工する加熱乳酸発酵亜系列,バターオイル加工に特化した非加熱自然発酵亜系列,そして,自然発酵でも長期保存が可能となる酸乳を加工する非加熱自然発酵亜系列より構成されていることが把握された。凝固剤使用系列群の乳加工技術では,凝固剤としてレンネット,クエン酸,酸乳が用いられており,チーズは塩水漬けで熟成され,青カビを用いた熟成チーズも加工されていることが把握された。バルカン山脈での青カビチーズは,冬期の冷涼な期間中のみに加工し,青カビが自然に付着してくる加工法であった。バルカン半島,西アジア,西ヨーロッパの自然環境の要因,ブルガリアのチーズの加工法と利用法の事例を通じて,カビを利用した熟成チーズの発達史は,1)レンネット利用の起原地はバルカン半島である可能性が高く,2)レンネット利用はバルカン半島から東方の西アジアと西方の西ヨーロッパに伝播し,3)西アジアでは「暑熱環境性」であるがために食味性よりも保存性が最優先され,チーズは非熟成・非カビ利用となり,4)バルカン半島では,「冷涼性」と「食味の優越性」によりチーズは熟成型となり,湿度はそれほどには高くなく,カビに対する嫌悪感からカビを利用したチーズとカビの非利用のチーズとが混在することとなり,5)西ヨーロッパでは「冷涼性」に「湿潤性」が兼ね備わり,「食味の優越性」がカビを利用した熟成チーズへと極めて発達させた,と考察された。
総説
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