ミルクサイエンス
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62 巻, 1 号
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原著論文
  • 平田 昌弘, 鬼木 俊次, 加賀爪 優, 内田 健治, 片野 直哉
    2013 年 62 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     エチオピア中高地での乳加工体系の把握と特徴を分析するために,中高地のアファール牧畜民とオロミア系ボレナ牧畜民,高地のティグライ語やオロモ語を話す高地の農民・都市民において,観察とインタビュー調査を行った。エチオピア中高地の乳加工体系は,発酵乳系列群の乳加工技術のみを用い,生乳から乳脂肪としてバターオイルを分画・保存し,乳タンパク質は分画・保存していないことが特徴であった。バターは食用に供することはなく,肌や頭に塗るために用い,食用にはバターオイルが用いられていた。バターミルクは飲用にのみ用いられていた。一方,エチオピア高地の乳加工体系は,発酵乳系列群の乳加工技術を採用し,生乳からの乳脂肪の分画・保存の最終形態はバターオイルであるが,生乳からの乳タンパク質の分画の最終形態はフレッシュチーズであり,乳タンパク質を長期保存はしていなかった。エチオピア中高地において,チーズ分画・保存が欠落し,バターオイル分画・保存は発達した理由は,1)ヒツジ・ヤギ・ウシ・ラクダから生乳が一年を通じて供給されており,乳タンパク質を分画・保存しなくとも,常に生乳から乳タンパク質が供給される状況にあり,2)バターオイルは不可欠な食材として食文化に位置づけられていたため,乳脂肪を分画・保存する技術は発達したと考察された。
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