ミルクサイエンス
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64 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著論文
  • 山田 哲也, 秋山 拓哉, 籏野 博, 木村 一雅
    2015 年 64 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
     オリゴ糖はプロバイオティクスの腸管内における増殖や機能を選択的に高める難消化性の糖であり,種々のオリゴ糖が販売されている。しかし,各オリゴ糖が腸内細菌にどのように利用されているかについての報告は見られなかった。今回我々はオリゴ糖がどのように腸内嫌気性細菌によって利用されているかを観察するため,ヒト腸内で高頻度に高菌数が検出される17菌株を用いて in vitro でのオリゴ糖 7 製品(fructooligosaccharide; FOS, galactooligasaccharide; GOS, gentiooligosaccaride; GEO, isomaltooligosaccharide: IMO, lactosucrose; LS, nigerooligosaccharide; NOS, xylooligosaccharide; XOS)の資化性試験を行い,増殖性と各種オリゴ糖の糖構成の経時変化を追跡した。
     その結果,多くの菌株はオリゴ糖製品で増殖が可能であった。また,糖構成の経時変化を追跡したところ,各オリゴ糖製品の特徴は以下のようであると考えられた。
    •GOS:積極的に 3 糖以上のオリゴ糖を分解する菌株以外にはオリゴ糖が利用されない
    •LS, FOS:幅広く腸内嫌気性細菌に利用される
    •IMO:積極的に 3 糖以上のオリゴ糖を利用する菌株以外にはオリゴ糖は利用されないが,他のオリゴ糖で成育しなかった特定の腸内細菌を増殖させる選択性を有していた
    •GEO:幅広い菌株が 2 糖や単糖を利用していた
    •NOS:他のオリゴ糖では 2 糖,単糖を利用していた菌株の一部でも 3 糖以上のオリゴ糖が利用されており,やや幅広い腸内嫌気性細菌に利用されていた
    •XOS:オリゴ糖を単糖にまで分解できる菌のみが利用していた
     今回の結果から Fru-Glc や Fru-Fru, Glc-Glc の結合は腸内嫌気性細菌によって切断されやすく,Gal-Gal の結合や Xyl を構成糖とする糖は切断されにくい傾向が観察された。しかし,ビフィズス菌はすべてのオリゴ糖で 3 糖以上のオリゴ糖を利用していることが確認された。ビフィズス菌は Gal-Gal や Xyl-Xyl の結合を切断する酵素を保持しているとの報告があるため,これらのことから他の菌株と比較して GOS や XOS を利用しやすいと考えられた。
  • 藤井 哲, Yves Crédoz, Annet J. H. Maathuis, 西田 聡
    2015 年 64 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
     日本の市場に流通するヨーグルトに含まれる bifidobacteria 3 菌株の生存性を 2 つの方法(in vitro における固定消化モデル,in vitro におけるヒトで検証済みの人工消化管モデル TIM-1)を用いて比較した。評価した菌株は,B. animalis subsp. lactis A 株と B. longum 2 菌株(B. longum B 株および B. longum C 株とする)であった。in vitro における固定消化モデルについては,ヨーグルト中の bifidobacteria を人工胃液に 1 時間,または人工腸液に 5 時間浸漬した後の生存性を調べた。B. animalis subsp. lactis A 株の人口胃液,人工腸液に対する生存性はそれぞれ68%,79%だった一方,B. longum B 株ではそれぞれ 1%と11%,B. longum C 株ではそれぞれ 1%と16%だった。TIM-1 については,各ヨーグルトの bifidobacteria 菌株の生存性を成人がヨーグルトを摂取した場合の消化管の生理的条件を再現して測定した。B. animalis subsp. lactis A 株の生存性は平均22.9%(8.9×109 cfu)で,B. longum B 株と B. longum C 株は検出限界(400 cfu)以下であり,測定できなかった。
     結論として,in vitro における 2 つの実験で B. longum 2 菌株に比べ B. animalis subsp. lactis A 株の高生存性が示された。
  • 中野 学, 新 光一郎, 若林 裕之, 山内 恒治, 阿部 文明
    2015 年 64 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
     ラクトフェリン(LF)+ラクトパーオキシダーゼ(LPO)配合錠菓の有効性の予備的検討として,口臭抑制効果とその持続性を他の口臭対策食品と比較した。また,LF+LPO の口臭抑制作用機構の検討として,口腔内細菌に対する影響を in vitro 試験で調べた。
     口臭抑制効果の検討では,口臭のある健常ボランティア 5 名が LF+LPO 配合錠菓を摂取したところ,摂取前と比べて摂取10分後,1 時間後および 2 時間後において硫化水素,メチルメルカプタンおよび総揮発性硫黄化合物濃度が有意に低下した。一方,ミント錠や緑茶の摂取では有意な減少は観察されなかった。
     殺菌活性試験では,8 mg/ml LF+LPO 含有粉末組成物は約 7 log cfu/ml の Porphyromonas gingivalis を30分間のうちに検出限界以下(2.7 log cfu/ml)まで抑制した。口臭産生に関わる含硫アミノ酸リアーゼに対する阻害試験では,8 mg/ml LF+LPO 含有粉末組成物の作用30分後に,P. gingivalis のシステインおよびメチオニンを基質としたリアーゼ活性がそれぞれ約85%および約80%低下した。バイオフィルム形成抑制試験では,0.05 mg/ml 以上の濃度の LF+LPO 含有粉末組成物は P. gingivalis のバイオフィルム形成量を半分以下に抑制した。
     以上の結果から,LF+LPO 配合錠菓の摂取は短期的な口臭抑制に有効である可能性が示唆された。短期的な口臭抑制効果には,口腔内細菌に対する殺菌活性および含硫アミノ酸リアーゼ阻害活性が関与すると考えられる。また,低濃度の LF+LPO 含有粉末組成物がバイオフィルム形成抑制活性を示したことから,長期的な口臭抑制も期待される。今後,プラセボ錠菓を対照とした臨床試験において有効性の検討が必要である。
  • 武田 安弘, 瀬戸 菜実子, 篠田 一三, 高瀬 光徳, 東 徳洋
    2015 年 64 巻 2 号 p. 115-126
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
     LF を経口摂取した場合には,通常,胃の消化酵素であるペプシンで速やかに分解される。しかしながら,LF を直接小腸の細胞に作用させた多くの研究で,多様な免疫賦活作用が確認されている。本研究では,摂取された bLF を小腸まで未分解のまま到達させ,その生理作用を十分に発揮させることを目的として,bLF を胃内消化から保護する作用を有する食品タンパク質の探索を行った。bLF と 4 種類の食品タンパク質(CN, WPI, OVA, SP)をそれぞれ共存させて人工消化試験に供したところ,CN を共存させた場合のみ,bLF の分解が抑制された。また,その作用は bLF に対する CN の重量比が大きいほど強かった。CN の主要サブユニットである αs-, β-, κ-CN は,いずれも bLF の分解を抑制し,中でも β-, κ-CN に強い作用が見られた。CN 分解物を共存させた場合は,CN と比較してその作用は弱く,分解の度合いが低いものほど bLF の分解を抑制した。これらの作用は,bLF と CN を含む天然食品である生乳,及び,bLF と CN を配合した加工食品である bLF+CN 流動食においても確認された。さらに,bLF+CN 流動食を経口摂取させた in vivo 試験においても,摂取した bLF の一部は未分解のまま小腸で取り込まれることが確認された。したがって,CN を bLF と共に配合した食品の摂取は,bLF のペプシン分解が CN により保護されることから,bLF の機能性を小腸内で発揮させる手段として有効であると考えられた。
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