ミルクサイエンス
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65 巻 , 2 号
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原著論文
  • 東 優磨, 清岡 千尋, 塚本 英視, 波多野 慎悟, 渡辺 茂
    2016 年 65 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/27
    ジャーナル フリー

     タンパク質の糖鎖を迅速かつ簡便に検出する方法として,糖タンパク質修飾金ナノ粒子とプローブとしてレクチンを利用する金ナノ粒子凝集比色法について検討した。モデル糖タンパク質として用いた“ウシラクトフェリン”は,最適条件下,金ナノ粒子と混合するだけで,すみやかに金ナノ粒子に吸着することがわかった。さらに,その糖鎖は,粒子表面に吸着後もレクチンとの結合活性を失っておらず,ラクトフェリン修飾金ナノ粒子とマンノース特異的なレクチン“Con A”を混合すると,ラクトフェリンの高マンノース型糖鎖と Con A が結合し,金ナノ粒子が凝集することがわかった。このような凝集体の形成は,金ナノ粒子の吸収スペクトル特性を数分で変化させることから,紫外・可視分光光度計のような汎用分析機器を利用して迅速に検出できることがわかった。また,赤色から赤紫色へと変わる溶液の色調変化は,目視によっても容易に確認できることがわかった。さらに,吸収スペクトル変化から糖鎖-レクチン間の解離定数(Kd)を算出し,ラクトフェリンと Con A 間の結合が,糖鎖クラスター効果によって増強されていることを示唆する結果が得られた(Kd1=34 nM, Kd2=29 nM)。金ナノ粒子凝集比色法は,既存の糖鎖分析法に比べて操作性,簡便性,迅速性に優れ,各種糖鎖に特異的なレクチンを利用することによって,糖タンパク質の多様な糖鎖を検出できる可能性を秘めている。さらに,金ナノ粒子表面に吸着させたタンパク質の糖鎖検出のみならず,その未知レクチン様レセプターの検出にも利用できる可能性が高いことがわかった。

  • 折笠 善丈, 佐藤 遥子, 大和田 琢二
    2016 年 65 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/27
    ジャーナル フリー

     チーズホエイを原料に用いた焼酎製造法を検討するため,カタボライト抑制解除株 Kluyveromyces marxianus KD-15 を用いて,チーズホエイを加えた糖化同時発酵におけるエタノール生産量を改良した。Aspergillus luchuensis あるいは A. oryzae で作成された麹と酵母 3 株(K. marxianus NBRC1963(親株)と K. marxianus KD-15, Saccharomyces cerevisiae NBRC10515)を組み合わせ,培養混合物中の pH,グルコースとラクトース含量,α アミラーゼと糖化力,並びにエタノール含量を経時的に21日間測定した。その結果,K. marxianus KD-15はいずれの麹との組み合わせでもエタノール生産量が他の酵母株よりも有意に高く,A. luchuensis との組み合わせでは,親株,及び S. cerevisiae NBRC10515 より約30%向上した。α-アミラーゼ,および糖化力は培養とともに低下傾向を示したが,K. marxianus KD-15 はいずれの麹との組み合わせでもラクトース消費量が最も高かったことから,K. marxianus KD-15 による高いエタノール生産は,デンプン由来のグルコースよりもチーズホエイ由来のラクトース消費量の影響を受けると考えられた。以上の結果から,K. marxianus KD-15 はデンプン質の混合原料の存在下でも高いチーズホエイの資化とエタノール生成能を有し,チーズホエイを原料とした焼酎製造への有用性が示された。

総説
平成27年度日本酪農科学会賞 受賞記念総説
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