ミルクサイエンス
Online ISSN : 2188-0700
Print ISSN : 1343-0289
ISSN-L : 1343-0289
66 巻 , 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • 内田 勝幸, 小林 おりえ
    2017 年 66 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

     加齢に伴う頻尿は著しく生活の質(Quality of Life: QOL)を低下させる。また,シクロフォスファミドやイフォスファミドなどの抗がん剤治療における副作用による膀胱炎に伴う頻尿も同様にQOLの低下を招く。そこで,今回の検討では抗がん剤であるシクロフォスファミドによる頻尿に対しα-ラクトアルブミンが有用性を示すか否か検討した。動物は Sprague-Dawley系の雌性ラットを用い,シクロフォスファミド50または150 mg/kgの用量を腹腔内投与することにより頻尿モデルを作製した。投与2日後に蒸留水20 mgl/kgを経口投与し,その後15分ごとの排尿回数および排尿量を測定した。150 mg/kgの用量では有意な排尿回数の増加および1回毎の排尿量の有意な低下がみられ,頻尿が観察された。しかし,50 mg/kgの用量では正常群と有意差がみられなかった。そこで,α-ラクトアルブミンの作用評価にはシクロフォスファミド150 mg/kgの用量で惹起したモデルを用いることにした。比較対照薬としてプレドニゾロンを用いた。シクロフォスファミドを投与した対照群では排尿回数が経時的に増加し,120分後では約10回の排尿があり,正常群に比較して有意に高値であった(2.2回,p<0.05)。また,正常群に比較して1回毎の平均排尿量は有意に減少した(1.82 vs 0.51 ml, p<0.01)。α-ラクトアルブミンの投与により排尿回数は対照群に比較して低値で推移し,対照群に比較して120分で有意差が認められた(p<0.05)。また,1回毎の平均排尿量は対照群に比較して有意に高値であった(0.95 ml, p<0.05)。プレドニゾロンも α-ラクトアルブミンとほぼ同様な作用を示したが,有意差はなかった。以上の結果から α-ラクトアルブミンはシクロフォスファミドによる頻尿に対し抑制作用を示すことが明らかになった。

  • 春日 元気, 富樫 史香, 阿部 麻衣子, 田中 勝, 荒川 健佑, 川井 泰, 宮本 拓, 増田 哲也
    2017 年 66 巻 3 号 p. 195-204
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

     Lactobacillus gasseriは代表的なプロバイオティクスの一つであり,その生産されるgassericin A(GA)や,gassericin T(GT)などのバクテリオシンは有益な食品保蔵剤として期待されている。Lb. gasseriは乳中での生育が緩慢であるため,培養には高コストのMRS培地が多用されるが,食品添加物として認められていない成分(硫酸マンガン)も含まれており,食品への利用には不向きである。そこで本研究では,MRS培地をベースとするLb. gasseri向けの食品グレード培地(FGM)の創製とバクテリオシンの生産を試みた。

     MRS培地成分より硫酸マンガンを除去し,すべての窒素源を食品グレード酵母エキス(YE)のみに置換した9種のFGMを調製した。次いで,Lb. gasseriおよび他のlactobacilliに対する各FGMの生育能を波長620 nmの濁度によって測定した結果,Lb. gasseriの1株を除く全供試菌株で“FR”(YE-FR添加FGM)が最も高い生育を示した。また,バクテリオシンの最適な生産条件を決定したところ,各“FR”(GA:YE-FR添加濃度0.9%およびTween 80添加濃度0.02%;GT:1.5%および0.075%)の培養24時間で,GAとGTの活性値が246 AU/mLおよび15,754 AU/mLとなり,それぞれMRS培地培養上清中における活性値の1/2量に到達した。

     本成果はLb. gasseriを対象とした完全食品グレードとなる人工合成培地の開発に成功した初の報告であり,低コスト(少なくともMRS brothの1/10)で,十分な生育性,そして食品グレードとなるLb. gasseri由来バクテリオシンの生産により,食品業界におけるLb. gasseriとそのバクテリオシンの利用性改善の可能性が期待される。

総説
  • 鯵坂 勝美
    2017 年 66 巻 3 号 p. 205-217
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

     Milk oligosaccharides have long received great attention to their high potencies of anti-infective, anti-inflammatory, and prebiotic activities. As a result, the structures of more than 130 human milk oligosaccharides have been reported until now. In order to investigate the structure, function, and application of milk oligosaccharides, the pure oligosaccharides are needed in large quantities. In this article, the syntheses by the transglycosylation reactions using glycosidase and the syntheses of higher oligosaccharides by glycosyltransferase are described in detail. In addition, the example of the syntheses by the genetically engineered metabolic systems are also demonstrated. Furthermore, the isolation of milk oligosaccharides from mammalian milk by the improved process of the traditional charcoal column method are described.

平成29年度日本酪農科学会奨励賞受賞記念総説
  • 西山 啓太
    2017 年 66 巻 3 号 p. 219-226
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

     LactobacillusBifidobacteriumは哺乳類の消化管に広く生息する共生細菌である。これらの細菌にとって宿主腸粘膜に対する付着性を有することは腸内環境での定着や生存を有利にすると考えられている。これまで筆者は,細菌と宿主腸粘膜の相互作用に着目し,LactobacillusBifidobacteriumにおいて複数の付着因子を同定し特徴付けてきた。さらに見出された付着特性を利用し,病原細菌との付着部位の競合を利用した感染予防の有用性を証明してきた。本総説では,LactobacillusによるCampylobacterHelicobacterの感染予防に関する取り組みとそのメカニズムについて論じるとともに,最近筆者らが見出したBifidobacteriumの糖質分解酵素を介した付着機構について紹介する。

feedback
Top