本研究では,放牧牛乳における一般消費者の官能評価を明らかにし,飼養条件および加工処理との関係を検討することを目的とした。飼養条件の異なる4農場の生乳(A, B, Cは放牧,Dは舎飼)を原料とし,ホモジナイズおよび殺菌処理(超高温殺菌ホモジナイズ,高温殺菌ホモジナイズ,高温殺菌ノンホモジナイズ)を3処理区設け,計12種の牛乳を用いて,3回の官能評価試験(計154名)を行った。官能評価試験は,市販牛乳(UHTホモジナイズ)を基準(0)とし,色,香りの強弱,香りの良悪,コク,甘味,後味の強弱および総合評価(おいしさ)の7項目を基準に対する各項目±5段階で評価した。総合評価を除く官能評価6項目を用いた主成分分析から,飼養条件の違い(放牧と非放牧)および加工処理方法の違いにより分けられことが明らかとなった。またプリファレンスマップから,放牧牛乳においてはホモジナイズ処理を行った方が消費者に好まれる可能性が示唆された。今後はこれらの要因となる物質等の検討が必要になる。
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