ミルクサイエンス
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67 巻 , 1 号
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原著論文
  • 平田 昌弘, 木村 純子, Tanja Barattin
    2018 年 67 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    ジャーナル フリー

     山のチーズと呼ばれる長期熟成ハードチーズが,紀元前2000年には冷涼なアルプス山岳地帯でつくられていた。フレッシュチーズと熟成ハードチーズの関連性の分析は,ヨーロッパにおけるチーズ発達史の再構築にとって極めて重要な論考となる。本稿では,イタリア北部山岳地帯のドロミテ地域を事例に,熟成ハードチーズとフレッシュチーズの加工工程を把握し,フレッシュチーズから熟成ハードチーズへの発達史過程について酪農科学・人文地理学的に考察することを目的とした。フレッシュチーズは,レンネット添加,カッティング,脱水,加塩することによって加工されている。フレッシュチーズは,風味の向上のため,塩水に漬けたまま数週間静置し,熟成されるようになっていった。この熟成フレッシュチーズを,塩水から取り出し,空気中で乾燥化を進めると,ドロミテ地域でつくられているドロミテと呼ばれるチーズのような熟成ハードチーズとなる。空気中で静置するため,表面は乾燥し,形成された外皮が内部のチーズを守るようになる。山岳地域では,熟成ハードチーズは長期熟成ハードチーズへと更に発展していった。より望ましい熟成を進展させるために,チーズつくりには乳脂肪含量を低くした脱脂乳が利用されるようになった。カードからよりホエイを除去するために,カードは42℃まで加温されるようになった。ここに,ドロミテ地域でみられる山のチーズのような長期熟成チーズが誕生することになる。このような発達へと向かわせた大きな要因は山岳地帯の冷涼・半湿潤性であり,ヨーロッパ山岳地帯でなるべくして変遷したチーズの発達だったと考えられた。

  • 中野 智木, 竹下 正彦, 有馬 勇夫, 遠藤 基, 佐藤 薫, 谷本 守正, 青木 孝良
    2018 年 67 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    ジャーナル フリー

     カゼインをpH 3.6以下,タンパク質濃度6%以上,70-85℃で加熱するとゲル化した。加熱ゲルのゲル強度は加熱温度,pH,タンパク質濃度に依存して増加した。しかし,90℃以上の加熱ではゲル強度が減少した。カゼイン溶液にNaClを添加すると加熱によるゲル形成が抑制された。動的粘弾性の測定によりカゼインを酸性条件下で加熱すると不可逆的な変化がおこることが明らかになった。未加熱の8%カゼイン(pH 2.8)は粘性成分より弾性成分が支配的だった。貯蔵弾性率(G′)と損失弾性率(G″)は3-40℃で加熱温度に依存して減少したが,40℃以上では増加に転じ,70℃で最大となった。加熱による構造変化後に冷却すると,G′とG″は温度の低下に伴い著しく増加し,70℃におけるG′とG″の極大は観察されなかった。加熱により形成したゲルを再加熱すると加熱温度に依存してG′とG″が減少した。酸性の加熱ゲルは熱可塑性であり,酸性ゲルやレンネットゲルとは異なる特性を有していた。

  • 朝隈 貞樹, 上田 靖子, 秋山 典昭, 内田 健治, 片野 直哉, 川村 周三, 三谷 朋弘
    2018 年 67 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    ジャーナル フリー

     本研究では,放牧牛乳における一般消費者の官能評価を明らかにし,飼養条件および加工処理との関係を検討することを目的とした。飼養条件の異なる4農場の生乳(A, B, Cは放牧,Dは舎飼)を原料とし,ホモジナイズおよび殺菌処理(超高温殺菌ホモジナイズ,高温殺菌ホモジナイズ,高温殺菌ノンホモジナイズ)を3処理区設け,計12種の牛乳を用いて,3回の官能評価試験(計154名)を行った。官能評価試験は,市販牛乳(UHTホモジナイズ)を基準(0)とし,色,香りの強弱,香りの良悪,コク,甘味,後味の強弱および総合評価(おいしさ)の7項目を基準に対する各項目±5段階で評価した。総合評価を除く官能評価6項目を用いた主成分分析から,飼養条件の違い(放牧と非放牧)および加工処理方法の違いにより分けられことが明らかとなった。またプリファレンスマップから,放牧牛乳においてはホモジナイズ処理を行った方が消費者に好まれる可能性が示唆された。今後はこれらの要因となる物質等の検討が必要になる。

ノート
  • 粂 久枝, 中村 健太郎, 岡﨑 惠子, 松浦 基, 山地 健人, 芦田 欣也
    2018 年 67 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    ジャーナル フリー

     我々は先に小腸障害モデルにおいて,乳清ペプチド,発酵乳,イソマルチュロースを含有することを特徴とする濃厚流動食MHN-02が小腸の粘膜透過性亢進を抑え,腸間膜リンパ節や肝臓へのバクテリアルトランスロケーションを軽減することを報告した。そこで,MHN-02の摂取がラットの腸管組織構造に及ぼす影響について検討した。MHN-02を2週間摂取したラットの小腸組織では汎用流動食(コントロール食)を摂取したラットに比べ,絨毛が有意に長く,陰窩が深く,そして,陰窩中の分裂している細胞数が増加した。これら腸管組織の変化に加え,MHN-02を摂取した盲腸では,コントロール食に比べ, Bifidobacterium属とLactobacillus属の細菌数の増加が認められた。これらの結果より,MHN-02の摂取は腸管の絨毛の成長を促進し,腸内細菌叢を改善することが示唆された。

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