ミルクサイエンス
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原著論文
  • ニプトゥデシー アリャンティニ, 松永 典明, 小島 公実子, 伊藤 裕之, 浦島 匡, 福田 健二
    2020 年 69 巻 3 号 p. 115-134
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,カビ熟成型チーズのスターターとしての特徴づけを目的とし,非商業用Penicillium roqueforti K10株およびR26株,ならびにPenicillium caseicolum DL102株のタンパク質分解活性および脂質分解活性を評価した。また,各菌株を個別に接種したカードスラリー培地を用い,pHの経時変化,揮発性香気成分,アミノ酸組成,ペプチド成分および食品に見出される典型的なカビ毒について明らかにした。その結果,対照として用いた商業用Penicillium roqueforti CB2株ならびにPenicillium camemberti PCTT033株と比較して,K10株とR26株は低い最大pH値を,DL102株はpH値の緩やかな経時変化を示した。これは,カードスラリー培地中において非商業用ペニシリウム属3菌株が商業用2菌株と比較して有意に低いプロテアーゼ活性を示すことを反映していた。カードスラリー培地中の総遊離アミノ酸量は,CB2株と比較してK10株は33%,R26株は39%であり,PCTT033株と比較してDL102株は99%であった。非商業用Penicillium属3菌株の脂質分解活性は,商業用Penicillium属2菌株と比較して有意に低かった。揮発性香気成分の種類はK10株,R26株,CB2株間で同じであったが,DL102株はPCTT033株と比較して少なかった。非商業用Penicillium属3菌株を摂取したカードスラリー培地中に数種類の生理活性ペプチドを検出した。いずれの非商業用Penicillium属菌株もカビ毒は検出限界以下であり,その安全性が示唆された。以上から,非商業用Penicillium属菌株K10株,R26株,CB2株は,カビ熟成型チーズのスターターとして高い利用可能性が示されたが,それらの産業利用には実用面でのさらなる調査研究が必要である。

  • 宮地 一裕, 桒野 靖之, 丸山 広志, 井上 肇, 東 徳洋
    2020 年 69 巻 3 号 p. 135-145
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

     近年,生菌ヨーグルトを含むプロバイオティクスだけでなく,乳酸菌の殺菌体およびその代謝産物によるポストバイオティクスの研究に注目が集まっており,その生理機能が次々に解明されている。殺菌ヨーグルト(乳酸菌を殺菌したヨーグルト)についても生理機能が報告されているが,関与物質は明らかになっていない。そこで,本研究では生菌および殺菌ヨーグルトに対してCapillary Electrophoresis Time-of-Flight Mass Spectrometryを用いて代謝産物を含む微量成分を解析し,殺菌ヨーグルトの特徴である二次殺菌(発酵後,乳酸菌を殺菌する工程)による生理機能物質への関与を確認することとした。合計221の物質が検出され,生理機能を有するnicotinamide, cytidine, 5′-deoxy-5′-methylthioadenosine, N-acetylneuraminic acidの増加が確認された。また,trans-glutaconic acid, malic acid, succinic acid, S-adenosylmethionine,遊離アミノ酸の減少が確認されたが,各物質の生理機能,定量値の観点から二次殺菌による殺菌ヨーグルトとしての生理機能への負の影響は小さいと考える。一方で,短鎖脂肪酸を含む多数の捕捉成分には有意差がみられなかった。筆者らが知る限り,本研究は二次殺菌工程が代謝産物を含むヨーグルトの微量成分に与える影響を調査した初めての研究であり,その結果,二次殺菌が生理機能にポジティブな影響を与える可能性が示唆された。

  • 横川 貴美, 渥美 聡孝, 柳川 昴諒, 大塚 功
    2020 年 69 巻 3 号 p. 146-154
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル 認証あり

     澄ましバター(CB; clarified butter)は料理によく使用され,インド伝統医学であるアーユルヴェーダではGheeとも呼ばれる。CBはバターを加熱,ろ過することでタンパク質を除き調製される。また調製後再加熱にて使用されることが多いため,加熱による油の酸化や機能性成分の分解が推測される。本研究では,CB調製時の加熱と利用時の再加熱がCBの品質に及ぼす影響を検討した。加熱方法や再加熱方法を変えた各種のCBを調製し,レチノール,α-トコフェロール(α-Toc),油脂酸化のパラメータを測定した。調製時に油から水やタンパク質が分離し,透明になった後0, 15, 30分加熱したものは,レチノール,α-Toc,過酸化物の値にほとんど影響はなかったが,時間依存的に褐色に変色していた。140℃で15, 30分間再加熱したものは,色が褪色し,レチノール,α-Toc含量が減少し,過酸化物価が時間に依存して増加した。これらの変動は,メイラード反応による抗酸化物質メラノイジンの産生と関連していると推察される。以上の内容から(1)油分離後,30分以下の加熱では品質にほとんど影響を与えないこと(2)除タンパクされたCBは,140℃での再加熱が品質劣化の原因となることが明らかとなった。高品質なCBを調製,利用するために,温度管理とタンパク質の存在下での加熱が重要である可能性が示された。本調査は,CBおよび代替医療としてのGheeを調製する際の,栄養機能や品質の安定化に資する研究である。

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