ミルクサイエンス
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69 巻 , 2 号
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学会からの重要なお知らせ
原著論文
  • 渡辺 嘉, 川崎 莉沙, 益山 新樹
    2020 年 69 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
    ジャーナル フリー

     哺乳動物の母乳の主要な中性脂質であるトリアシルグリセロール(TAG)は,主にsn-2位置にパルミチン酸,短鎖や不飽和脂肪酸はsn-1(3)に分布していることが知られる。乳児用調製乳に含まれるTAGの脂肪酸位置分布は,乳児の脂質吸収性や栄養価,調製乳の組成設計の観点から重要である。栄養価を高めるため高度不飽和脂肪酸を強化した乳児用調合乳も販売されている。しかし短鎖や高度不飽和脂肪酸含有油は,膵リパーゼを用いた従来の脂肪酸分布分析法(ISO 6800)の適用範囲外である。

     そこで本研究は,乳児用調製乳中の脂質のFA分布を分析する実験法の確立を目指した。まず,紛体や液体の乳児用調製乳をAOAC公定法932.02(レーゼ・ゴットリーブ法)で抽出し,推定収率88~96%で主にTAGから成る脂質を得た。魚油混合液中のPUFA含有量は抽出操作で有意に変化せず,本抽出操作においてPUFAは安定なことが示唆された。抽出脂質を,短鎖や高度不飽和脂肪酸を含むTAGに適用可能なJOCS/AOCS公定法Ch 3a(JOCS基準油脂分析試験法2.4.5)に供した。本研究で分析した殆どの乳児用調製乳において,パルミチン酸はsn-2に偏在していた。高度不飽和脂肪酸が強化された調製乳では,ドコサヘキサエン酸も主にsn-2に分布していた。

総説
  • 西村 順子
    2020 年 69 巻 2 号 p. 71-82
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
    ジャーナル フリー

     本論文ではプロバイオティック乳酸菌の現在と将来的展望についてまとめた。プロバイオティック乳酸菌のLactobacillus reuteriは工業的な応用価値が高いと思われるが,その特性は比較的知られていないため,本菌の生理的特性と炭水化物代謝を紹介する。炭水化物代謝においては,糖類は細胞膜に存在する種々のトランスポーターを介して細胞内に取り込まれ,ヘキソースやペントースはホスホケトラーゼ経路やペントースリン酸経路によって代謝される。L. reuteriのいくつかの菌株は菌体外多糖やオリゴ糖を生成することができる。その一つ,ロイテランは (α1→4) 結合と (α1→6) 結合で構成される多糖である。同時に,(β2→6) 結合と (β2→1) 結合からなるフルクトースポリマーを生成することもある。ロイテランおよびフルクトースポリマーは,グルカンスクラーゼもしくはフルクトスクラーゼによって,細胞外で合成される。現在,これらの多糖や酵素の工業的応用は限定的だが,今後,乳業業界をはじめとする多くの分野で利用が拡大していくと考えられる。

2019年度日本酪農科学会学会賞受賞総説
  • 谷本 守正
    2020 年 69 巻 2 号 p. 83-92
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
    ジャーナル フリー

     食品の物性を①微少変形領域での『(狭義の食品の)物性』(いわゆる「物性」)②大変形領域,食感なども意味する『食品の力学物性』 ③品質特性をも含む『(広義の)食品の物性』3つに整理した。そのうえで,乳タンパク質カゼインの凝集・凝固に焦点を当て,動的粘弾性の得られるデータの意義を整理した。ゲル化状態への変化,ゲル化構造体の力学的状態の理解には動的粘弾性の観察は有用であることを示した。さらに多様な乳ゲルの研究には構造観察や大変形での動的粘弾性の適用など重要となる。食品の物性研究においては,「モノ作りがわかること」,「モノの素性を理解すること」が前提になる。多くの技術者と多くの研究者の結集・交流こそが「食品の物性研究」の発展には欠かせない。乳・乳製品を対象とした食品の物性研究は,その牽引として,今後一層の発展を期待したい。

酪農科学シンポジウム2020講演要旨
1. 基調講演要旨
2. 招待講演要旨
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