ミルクサイエンス
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71 巻, 2 号
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学会からの重要なお知らせ
原著論文
  • 荒蒔 祐輔, 魚津 諒大, 金澤 朋子, 渡邊 駿, 福田 健二, 浦島 匡, 田中 正之
    2022 年 71 巻 2 号 p. 35-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/23
    ジャーナル フリー

     京都市動物園の飼育下アメリカバク個体より,泌乳時期の乳の回収を2度の出産事例で行い,それぞれ成分組成を分析した。2014年事例ではドライケミストリー法を用いて乳中総蛋白量の推移および仔の吸乳頻度を計測し,2017年は主に初乳の蛋白質,脂質,全糖量,灰分を計測した。2014年事例では,仔の吸乳頻度は生後3週目をピークとして仔の成長に伴い減少傾向にあった。また,泌乳期の終了が示唆される乳中総蛋白値の上昇が出産経過後196日目以降にみられた。2017年事例の初乳(分娩前日搾乳)における成分組成は以下の通りであった;20.1 g/dl蛋白質,1.8 g/dl脂質,2.9 g/dl全糖量,0.7 g/dl灰分。これらの値はクォーターホースの初乳{18.06%蛋白質,1.7%脂質,1.53%全糖量(ラクトース)}の成分組成(文献値)と近い値を示した。さらに出生後5か月の期間内において,1日に6~18回の吸乳がみられ,吸乳を行う時間帯を比較すると飼育員の居ない夜間の方が時間当たりの頻度が多くみられる傾向にあり,薄明薄暮または夜行性とされるアメリカバクの活動性と関連する結果であった。

ノート
  • 福泉 洋樹, 松永 雅之, 河村 あゆみ, 廽神 果那, 浦島 匡, 福田 健二
    2022 年 71 巻 2 号 p. 42-46
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/23
    ジャーナル フリー

     京都市動物園で飼育するグレビーシマウマ1頭から出産後およそ1, 2, 3, 4, 5および8ヶ月の乳試料を採集し,一般成分組成を分析した。その結果,泌乳期の経過に伴う各成分の濃度変化は小さく,脂質1.9±0.55(平均±標準偏差)g/100 mL,タンパク質1.7±0.22 g/100 mL,糖質6.3±0.57 g/100 mL,灰分0.3±0.06 g/100 mLであった。また,タンパク質は全泌乳期間にわたり,糖質は5ヶ月まで,脂質は2~5ヶ月までそれぞれ低下傾向を示した。牛乳と比較して,グレビーシマウマの乳は脂質とタンパク質の濃度が低い一方,糖質の濃度が高く,近縁種であるウマやロバに近い乳成分組成を示すことが明らかとなった。

  • 浅川 卓也, 福重 祥一, 廽神 果那, 魚津 諒大, 渡邊 駿, 浦島 匡, 福田 健二
    2022 年 71 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/23
    ジャーナル フリー

     姫路セントラルパークで飼育する鯨偶蹄目ウシ科動物[シロオリックス(オリックス属)1個体,アダックス(アダックス属)1個体,バーラル(バーラル属)2個体,マーコール(ヤギ属)1個体,シタツンガ(ブッシュバック属)3個体,エランド(エランド属)1個体]から乳試料を回収した。その内,アダックス,バーラル,シタツンガ,エランド各1個体からは異なる泌乳時期の乳試料が得られた。採集した乳試料の一般成分を分析した結果,ウシなど他の鯨偶蹄目動物と同様にシロオリックスとエランドは,初乳成分に占めるタンパク質の割合が高い傾向を示した。一方,シタツンガは初乳と常乳でタンパク質の割合に大きな相違はなかった。本研究で用いたいずれの動物種においても,常乳におけるタンパク質の割合は,家畜種(ウシ,ヤギ,ヒツジ)の常乳よりも高い傾向を示した。また,脂質は個体間および異なる泌乳期において最も変動の大きな成分であり,その変動幅は家畜種の乳よりも大きいことが示唆された。以上の結果から,動物園で飼育下にある鯨偶蹄目ウシ科動物の乳の一般成分割合は家畜化された動物種の乳とは異なること,また,泌乳期の変化に伴う成分変動パターンには糖質において類似の上昇傾向が示唆された。

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