Medical Imaging Technology
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31 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
特集/システム開発論文
  • 田島 英朗, 山谷 泰賀, 平野 祥之, 吉田 英治, 木内 尚子, 渡辺 光男, 田中 栄一
    2013 年 31 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    放射線医学総合研究所では,物理的な開放空間を持ちPET測定中に患者にアクセスすることが容易な新しいPET装置としてOpenPETの開発を進めている.初期アイディアである2つのリングによって構成した開放型PET「Dual-Ring OpenPET」は,開放空間を含めた広い範囲を撮影することが可能である.一方,OpenPETによる粒子線治療中の線量分布確認などの目的では,広い視野よりもむしろ視野を照射野周辺に集中させ,高い感度を実現することが望ましい.そこで,本研究では,1つの検出器リングによって必要な開放空間を確保しつつ,さらに効率よく感度を高めることが可能な第二世代開放型PET「Single-RingOpenPET」の提案を行った.提案するジオメトリをブロック検出器により実装した場合,楕円リングをずらしながら並べた形となるため,位置に依存した空間分解能の劣化が懸念されたが,深さ方向の情報を得ることが可能なDOI検出器を用いることで,視野内で均一な空間分解能を実現可能なことをモンテカルロシミュレーションにより示した.
  • 梅谷 啓二, 近藤 威
    2013 年 31 巻 2 号 p. 88-93
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    放射線治療では,高強度の放射線照射により癌を治療する.画像誘導放射線治療においては,治療用放射線でポータル画像(照射野確認画像)を撮影し,照射範囲を確定した後で癌組織への照射が実施される.しかし,治療用放射線を使うポータルイメージングではコントラストや解像度が低く,照射野照合を正確に実施することが難しい.本研究では,放射光を使った放射線治療のために,新たなポータルイメージングの開発を目的としている.このために,着目部位の辺縁部分で放射光が屈折により直進軌道を曲げられる現象で,着目部位辺縁が輪郭強調される屈折コントラスト法を用いた.この撮影手法により,ラット頭蓋骨標本およびマウス頭部標本を使い,コントラスト向上の評価実験を実施した.
研究論文
  • 水田 忍, 松田 哲也, 山田 重人, 塩田 浩平
    2013 年 31 巻 2 号 p. 94-104
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    ヒトの受精から出生に至る過程を明らかにする発生学分野において,ヒト胚子標本の形態データベースは,発生に伴うヒトの形態形成の機序を解明する貴重な資源となる.本研究の目的は,京都大学が所蔵する大規模なヒト胚子連続切片標本群から3次元画像の再構成を行い,得られた3次元画像を閲覧可能なデータベース検索表示システムを構築することである.本研究では3次元再構成における課題に注目し,その解決を図る.対象とする連続切片標本群は収集時に3次元再構成を想定しておらず,また大規模な標本の画像化に伴う欠損・劣化や処理の誤りも避けられない.我々は大規模な連続切片標本群に対して,これら生じ得る種々の課題を網羅的に考慮した3次元画像再構成を行ったので報告する.また,得られた3次元画像を閲覧するデータベース検索表示システムの構築について述べる.
  • 後藤 隆男, 椛沢 宏之
    2013 年 31 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    現在,広く普及しているMRI肝臓造影検査においては,ボーラスの到達を正確に捉えるため,MRI信号でボーラスを自動モニターするSmartPrepと呼ばれる方法が併用される.しかし,このTrackerは3次元的構造を持つ大動脈内に手動で正確に置く必要があり,経験のあるオペレータでも時間のかかる作業である.本報告では,MRI肝臓検査のワークフローを改善するため,SmartPrep trackerの自動位置設定の技術を確立することを目的とする.提案法では,大動脈が脊椎の周りに位置する点に着目し,AdaBoostを使用して脊椎の周りを探索する.感度変化が大きく,スカウトスキャンによって得られる胸部から腹部までのAxial画像から大動脈を検出し,自動位置決めすることを可能にした.現在まで正常ボランティア64例,234の画像データによるテストを行い,約3mmの精度で大動脈検出が可能であった.
  • 王 朕, 工藤 博幸
    2013 年 31 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    CTの画像再構成において現れるインテリア問題では,解を一意に定めるのに関心領域(ROI)内の小領域の先見情報が必要である.本論文では,先見情報を与える領域がROIの外部にある場合でもインテリア問題の解が一意に定まる場合があることを示し,そのための先見情報領域の幾何学的条件を導出する.その条件とは,E線と呼ぶ以下の2つの幾何学的条件を満足する直線が存在することである.1つ目の条件は,E線が先見情報領域とROIの和集合に含まれることである.2つ目の条件は,E線がROIと交差することである.そして,この条件が満足される場合に具体的な画像再構成を行う手法を提案する.提案手法は,2つのステップの処理から構成される.第1ステップでは,E線に沿って先見情報を利用してヒルベルト逆変換を行い,E線とROIが交差する部分の画像再構成を行う.次に,第1ステップで得られた交差部分を先見情報として,インテリアCTの画像再構成に使われるDBP-POCS法を適用してROI全体の画像再構成を行う.このROI外に先見情報を与えるインテリア問題の厳密な解法は,従来のROI内に先見情報を与えるインテリア問題の厳密な解法の拡張になっている.数値実験を行い提案手法の有効性を示す.
  • 清水 昭伸, 進藤 季世, 小畑 秀文, 縄野 繁, 篠崎 賢治
    2013 年 31 巻 2 号 p. 121-131
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    アンサンブル学習などの機械学習に基づく臓器セグメンテーションでは,構築された分類器による判定が,画素ごとや局所領域ごとに独立していることが多く,抽出図形の形状が不自然になることがしばしばある.本論文では,臓器形状の統計的特徴を考慮しながらセグメンテーション処理を構築可能な,新しいアンサンブル学習アルゴリズムを提案する.具体的には,人体臓器の統計モデルを用いて抽出図形の形状を評価する新しい損失項を提案し,従来の誤り損失項と組み合わせた損失全体を最小化する学習アルゴリズムを示す.本論文ではまず,人工画像を用いて提案手法の原理検証を行い,その後,80症例の3次元CT像を用いた脾臓のセグメンテーション結果を示し,提案手法の性能を評価する.その結果,提案手法によって,従来の誤りのみを損失とする場合に比べて,不自然な形状の抽出結果が少なくなり,性能が統計的に有意に向上することを示す.
研究速報
  • 國井 琢矢, 白井 亮多, 米山 明男, 丸山 弘子, Thet Thet LWIN, 武田 徹
    2013 年 31 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/20
    ジャーナル フリー
    人体の軟部組織は密度差に乏しく,従来のX線イメージング技術によって詳細に観察することは困難である.しかし,X線の性質である波の性質を利用しX線の位相の変化,つまり位相シフトを検出する技術を用いることで,軟部組織を従来の方法に比べ約1000倍高感度に画像化できる.X線干渉計を用いた位相X線CTシステムでホルマリン,およびエタノール固定されたラットの心臓を撮影し,心筋の層構造を観察した.ラットは麻酔を施した後,灌流・固定した.摘出した心臓を各溶液で保存し,高エネルギー加速器研究機構で位相X線CTを取得した.従来法のホルマリンおよびエタノールで固定されたラット心臓のCT像を比較し,ホルマリンでは観察が困難であった心筋線維構造(内膜,中膜,外膜)が,エタノール固定した心臓で明瞭に観察された.エタノール固定で心筋の線維と走行の観察が可能となり,心筋線維に器質的変化をきたす疾患の観察に有用である可能性が示唆された.
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