Enterprise Resource Planning System(以下,ERPと称する)は,現在,企業の基幹システムとして広く普及している。先行研究では,ERPは従来の経営情報システムと比較し機能統合や業務プロセスの標準化の点で優れている,と指摘されている。本稿では,Jensen and Meckling(1992)による「情報移転コストが分権化の議論において極めて重要である」との主張に基づき,300名以上の企業に在籍する1,501名のマネジャーを対象としてアンケート調査を実施し,ERPの導入が情報の非対称性と分権化の関係にどのような影響を与えるかについて検証した。分析結果から,ERPの導入が情報の非対称性と分権化の関係を弱める効果があることを発見した。さらに,オンプレミス型のほうがクラウド型よりもERP導入時の調整効果が大きいことも明らかになった。
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