一次構造の違いがポリプロピレン (PP) の安定性に与える影響を調べるために, 少量のエチレン連鎖 (5.3mol%) をランダムに有するランダムPP (rPP) の劣化挙動をホモPP (hPP) の場合と比較した.各PP鎖の安定性に与える影響を明らかにするためにトリクロロベンゼン希薄溶液を用いて行なった熱劣化試験から, rPP分子量の熱劣化時間に伴う減少はhPPに比べて明らかに遅く, エチレンコモノマーの導入によってPP鎖そのものの安定性が向上することが分かった.さらに, 結晶化度 (56vol/%) を揃えることにより, モルフォロジーの影響を取り除いた固体試料を用いて光劣化試験を行なった所, 照射時間96h以降, rPPではカルボニルやヒドロペルオキシド量の増加ならびに分子量の減少が見られず, 劣化の進行が止まるという特異な劣化挙動を示し, PP固体においてもエチレンコモノマーの導入による安定性の改善が見られることが確認された.
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