人工材料と生体材料においてそれぞれの機能ごとの対比を中心として整理を行い, 寿命や故障などの信頼性の発現について論じた.材料を軸に生物が有する防御機構を20段階に分類し, 材料自体, エネルギー消費, 外敵排除, 自己防御などについて整理した.人工物は材料自体の選択や受動防御においては優れた機構を持っているものもあるが, 外敵排除や能動防御などについてはほとんど見られず, その点が人工材料を使用した機能複合体の信頼性低下に関係していることを示した.環境や長期間の変化に追従する防御機構としての馴化を生物と人工材料について例を挙げ, 以上の点から全体として工業材料が短寿命であることについて材料面から考察を加えた.
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