マテリアルライフ学会誌
Online ISSN : 2185-7016
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ISSN-L : 1346-0633
21 巻, 2 号
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イントロダクション
解説
翻訳 7th International Symposium on Weatherability (7th ISW) (2008)
報文
  • 亀田 純一, 香西 博明
    2009 年 21 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2021/05/08
    ジャーナル フリー

    ケトン類を用いたジエン系ポリマーの光分解について検討した.細断したジエン系ポリマーを,種々のケトン中に浸漬させ増感剤を添加し紫外線照射を行うことで著しい分子量低下を引き起こすことが明らかとなった.cis-1,4-ポリイソプレンは6時間紫外線照射することで,分子量3,500程度の劣化生成物となった.特に多芳香環であるアントラキノンを添加したときの効果が特に高かった.得られたcis-1,4-ポリイソプレンの劣化生成物は溶解性が著しく向上し,種々の有機溶媒に可溶となった.最適条件下で天然ゴム,cis-1,4-ポリブタジエン,1,2-ポリブタジエン,スチレン-ブタジエン共重合体の光分解を行った結果,同様に低分子量化し,分子量5,000~8,000程度の劣化生成物となった.FT-IRおよび1H-NMRによる劣化生成物の構造解析を行った結果,新たにヒドロキシル基やカルボニル基の生成を確認した.機器分析の結果から,光分解の反応機構は自動酸化反応によるものと推察した.

技術報文
  • 秋庭 芳一, 君塚 雄太, 門間 公俊, 斉藤 啓治, 陣田 一也
    2009 年 21 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2021/05/08
    ジャーナル フリー

    プラスチック類の劣化状態を測定する一般的な手段として,①赤外分光分析による酸化や分解構造の解析,②電子顕微鏡による構造変化の観察,③組成分析による添加剤の濃度や分解物の解析,④硬さや引張強度の物性測定等が挙げられる.しかし,これらの分析で得られる情報は,一部を除きスペクトルや画像による定性的・相対的なものが多く,劣化度を定量的に表すには至っていない.我々はセラミックスやプラスチック材料の遠赤外線効果の評価に用いられる赤外放射率に着目した.劣化による構造変化と赤外放射率の関連性について検討し,劣化度合いを赤外放射率として数値化することを試みた.試料としてポリ塩化ビニルおよびカーボンブラック配合スチレン/ブタジエン共重合体(黒ゴム)を用いて屋外暴露試験や劣化促進試験を実施し,劣化試験片の赤外放射率を求めた.その結果,両試料とも経時的に赤外放射率が低下する傾向を示し,赤外放射率と劣化の間に関連性があることが判明した.これにより劣化度合いを赤外放射率で評価することが可能となった.

  • 稲垣 穣, 数馬 安男, 瀧澤 貴久男
    2009 年 21 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2021/05/08
    ジャーナル フリー

    飲料・食品用産業機器において,耐食性が要求される部品の金属材料としてオーステナイト系ステンレス鋼が広く使用されており,この材料を使用した各種機能部品は他の材料との組合わせで構成されていることが多い.このような部品においては,腐食性を有する飲料や食品に接した場合,孔食,すきま腐食などの局部腐食を発生することがある.また,清涼飲料水などの飲料を扱う産業機器において,ステンレス鋼製部品がガスケットと接する部分ですきま腐食を生じることは度々経験しているが,プラントなどにおいては,ガスケットの材質の違いにより,すきま腐食の発生に差があることが知られている.しかしながら,ゴム材料がステンレス鋼のすきま腐食におよぼす影響についての報告は少ない.そこで,清涼飲料は酸性の溶液がほとんどを占めるため,飲料に使用される酸味料中における各種ゴム製ガスケットとステンレス鋼のすきま腐食の関係を明らかにし,適正な材料を求めることを目的として研究を行った.近年,飲料の酸味料としてアスコルビン酸の使用量が増加している.アスコルビン酸は,非酸化性であることから,主にこの溶液によるすきま腐食性を調べた.

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