微生物細菌細胞に対する銅イオンと銅錯体による抗菌作用がグラム陽性細菌細胞壁ペプチドグリカン層・グラム陰性細菌細胞壁外膜/細胞質膜/細胞質に区分して調べられた.各領域の抗菌反応は,細胞壁ペプチドグリカン層においてCu-TG/TP酵素の結合,糖鎖間とペプチド鎖に銅錯体の形成による新ペプチドグリカン生合成阻害および活性酸素O2-, H2O2の産生,一方,細胞壁外膜において外膜の一部破壊,タンパク質欠損およびO2-,H2O2の活性酸素の産生,細胞質膜においてはHaber-Weiss・Fenton反応によって生成するCu+, ・OH, OH-による障害,そしてCu2+, H2O2によるDNA鎖切断,DNA塩基間の銅錯体形成によるDNA, RNA合成阻害によって起こる.
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