カーボンブラック充填EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム)は殺菌剤として汎用されている次亜塩素酸(HOCl)により劣化する.劣化したEPDMの強度は,HOClが拡散し,反応した深さの増加に伴って低下する.そのため,耐HOCl性を評価するにはEPDM内部へのHOClの拡散・反応による劣化層形成挙動を明らかにする必要がある.本研究では,拡散・反応した深さ(劣化深さ)の経時変化から,HOClによる劣化層形成挙動の規則性を見出し,HOCl濃度・浸せき温度依存性を明らかにすることを目的とした.その結果,劣化深さ(DCl)と浸せき時間(t)の関係は,べき乗則(DCl=Ktn, K, nは定数)により整理することができた.KはHOCl濃度に対して比例関係にあり,温度に対してアレニウスの法則に従った.nはHOCl濃度に依存せず一定であり,温度の上昇に伴って低下した.これらの定数の濃度・温度依存性を考慮したべき乗則により劣化深さの経時的な変化の予測ができることを示した.