ヒバ油は,天然抗菌剤として利用されているが,揮発性が高く,材料に応用するにはその効果を持続することが重要である.そこで,本研究では,ヒバ油をバイオマス由来の材料で保持し,抗菌力持続性が高く環境負荷の低い材料の作製を目的とした.保持剤として竹粉またはセルロースナノファイバー(CNF),母材として酢酸酪酸セルロース(CAB)を選定し複合化フィルムを作製した.フィルムの抗菌持続性は,定性試験であるハロー法,抗菌力持続性は,シェーク法で定量的に評価した.ハロー法では,保持剤無添加フィルムの抗菌性が14日間であったが,竹粉を8 wt%添加したフィルムでは,35日間抗菌性が確認された.また,シェーク法では,保持剤無添加フィルムの抗菌力は試料作製時(0days)のみ認められたが,親水性CNFおよび疎水性CNF添加フィルムでは,7日間まで十分な抗菌力を示した.これらの結果より,バイオマス由来の保持剤添加により,ヒバ油の抗菌効果を持続できることが明らかになった.