マテリアルライフ学会誌
Online ISSN : 2185-7016
Print ISSN : 1346-0633
ISSN-L : 1346-0633
33 巻, 3 号
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解説
報文
  • 田口 浩然, 尾坂 奈生, 菊地 貴子
    2021 年 33 巻 3 号 p. 57-64
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー

    プラスチックの海洋中での生分解性評価は,海洋ごみ問題の解決策の一つである海洋生分解プラスチックの普及のために不可欠である.実験室における海洋生分解性評価では,試験の再現性やばらつき,試験に長期間を要する等が課題とされている.本研究では,試験開始時の植種を高活性化し,海水中での生分解性評価の加速化を検討した.実験室における植種は経時で微生物活性や生菌数が減少し,生分解活性も低下する傾向が認められた.植種に海底堆積物から微生物を海水へ抽出した抽出海水を用いることで,生分解速度が加速した.さらに,栄養塩の添加により分解が促進されることが明らかとなった.実海域と実験室における生分解途中の試料に付着した菌叢は類似しており,実験室評価は実海域での分解をシミュレーションできることが確認された.実験室における生分解性評価は,植種の採取場所や季節が評価に影響する.分解の遅い海水であっても,抽出海水の利用により,生分解性を短期間で評価できると期待される.

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