光照射で架橋・硬化するが,異なる波長の光照射とそれに続く加熱により架橋構造が解裂し,溶解除去する事が可能な解架橋性光硬化樹脂(リワーク型光硬化樹脂)について,設計,合成,および,その特異な物性変化について解説する.また,これらのリワーク型光硬化樹脂の機能性材料への応用についても紹介する.
プラスチックの海洋中での生分解性評価は,海洋ごみ問題の解決策の一つである海洋生分解プラスチックの普及のために不可欠である.実験室における海洋生分解性評価では,試験の再現性やばらつき,試験に長期間を要する等が課題とされている.本研究では,試験開始時の植種を高活性化し,海水中での生分解性評価の加速化を検討した.実験室における植種は経時で微生物活性や生菌数が減少し,生分解活性も低下する傾向が認められた.植種に海底堆積物から微生物を海水へ抽出した抽出海水を用いることで,生分解速度が加速した.さらに,栄養塩の添加により分解が促進されることが明らかとなった.実海域と実験室における生分解途中の試料に付着した菌叢は類似しており,実験室評価は実海域での分解をシミュレーションできることが確認された.実験室における生分解性評価は,植種の採取場所や季節が評価に影響する.分解の遅い海水であっても,抽出海水の利用により,生分解性を短期間で評価できると期待される.