文化財の保存活用において照明は必要であるが,光線の質や量に配慮しないとすみやかな劣化につながる恐れがある.外光利用から人工光源の開発・利用まで,博物館における利用の歴史を総括し,光の影響,耐光性試験方法,照度の制限の状況,特に積算照度による管理について材料の吸光特性や光源の分光放射強度を勘案した研究の現状についてまとめ,その延長の視点からLED光源の利用可能性について検討した.また世界の照度基準や耐光性試験方法についてまとめた.太陽光や白熱電球のような連続光源に対して積算照度の考え方はうまく適合するが,蛍光ランプは色温度の違いで材料の退色の程度が変わることを実験的に示した報告例があることを文中で指摘した.材料の退色可能性は,光源の分光放射強度,材料の吸光特性などと関係するので,いずれの光源であっても管理が必要で,その点で計測の容易な積算照度は有効と考えられる.
昨今,カーボンニュートラル実現に向けた,サーキュラー・エコノミーの構築が急務である.本稿では,単なる資源循環のためのリサイクルではなく,循環経済のためのリサイクルとはどういうものかを述べる.最初に,プラスチックリサイクルをめぐる世界の状況と日本の状況を概説したのち,プラスチック関連企業に対して行ったリサイクルに関する意識調査結果を示す.調査結果によると,多くの企業が社会動向を踏まえた対応と同時に,製品の価値向上を理由にリサイクルを進めようとしていることが分かった.その一方で,リサイクルの実現に課題や障壁があるとの回答が80%に上り,今後期待される技術としてリサイクル材の評価方法や品質管理方法が挙げられた.このことから,持続可能なリサイクルシステムを実現するためには,材料評価技術とトレーサビリティーが重要な基盤となることがわかる.最後に,ビジネス戦略として理想的なリサイクルのためには,「コトづくり」によるバリューチェーン全体の価値の向上も重要であることを述べる.
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