海洋ごみ問題の解決策の一つである海洋生分解プラスチックの開発,普及のために,海洋でのプラスチックの生分解性評価は不可欠である.海洋流出したプラスチックは,海水中を浮遊し,劣化や微生物の付着等により海底に沈降すると考えられている.本研究では,プラスチックの海洋中での動態に着目し,海水中,浅海底面の海水/堆積物の界面及び浅海海底の堆積物中と異なる暴露条件がプラスチックの生分解性へ及ぼす影響を評価した.崩壊試験の結果,同じ海域でも暴露条件によって生分解過程や生分解速度が異なる可能性があることが示唆された.粉体試料を用いた生分解度試験において,同海域では,海水/堆積物界面で最も速い生分解速度を示した.また,材料の生分解性は海域の季節変動の影響を受けることも明らかとなった.材料の生分解性評価には多様な海洋環境を想定した適切な評価方法が必要であると考えられる.