生分解性ポリマーであるポリ乳酸 (PLA) に完全生分解性物質である澱粉を種々の割合で混合した射出成形物を作製し, 土壌中における生分解挙動について詳細に検討した.その結果, 土壌試験30日においてPLA単独 (澱粉含有率0wt%) の試験片は外見上全く分解は進まなかったが, 澱粉を混合した試験片は変色し表面に亀裂が生じ分解が進行した.澱粉含有率10wt%と30wt%を比較すると30wt%で崩壊が著しく見られた.PLA単独と10wt%の試験片では試験片中のPLA.部分の分子量低下はあまり見られなかったが30wt%では低下が著しかった.また, 10wt%と30wt%の試験片に繁殖した微生物数を測定したところ30wt%の試験片の微生物数が極端に多いことがわかった.このように30wt%では澱粉の添加は単に試料の形状の崩壊を促進させるだけでなくポリ乳酸自身の分解を促進する効果があることが明らかとなった.
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