理学療法の歩み
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26 巻, 1 号
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特集
  • 藤村 伸
    2015 年 26 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    本邦における内部障害の患者数は近年増加の傾向を辿っている。また,リハビリテーションの分野においても内部障害に関連した診療報酬の算定項目は拡大している。日本理学療法士協会は,2009年度から新たな専門理学療法士制度を開始した。この制度は,理学療法士としての学術的・職能的能力を高めるとともに,社会的認知を促すため医療広告ガイドラインに準拠した専門性資格として認められることを目指している。内部障害に関連したものとしては,認定理学療法士として「循環」,「呼吸」,「代謝」の3領域が,専門理学療法士としては「内部障害分野」が定められている。専門理学療法士制度以外での内部障害に関する資格については,各関連学会などが認定する様々な制度が発足されている。理学療法士が社会的に認められ職域を発展させてゆくためにも,これらの認定制度を活用しつつ自己研鑽に努めることは重要である。
  • ―心不全に対する理学療法の展開―
    澤邉 泰
    2015 年 26 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    心不全の治療は1960年代後半に早期離床・早期退院の考え方が定着し,1970年以降に運動療法が普及していった。その後,運動療法の安全性や有効性について多くの検討が行われ,多くの有益な効果が得られることが判明し,心疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインにおいても運動療法の効果について示されている。我々理学療法士が心不全患者に対して理学療法を提供する上で重要となるのはリスク管理である。理学療法士が「心機能」として一般的にイメージするのは左室駆出率(Left Ventricular Ejection Fraction: LVEF)ではないだろうか。LVEFが40%未満になると左室機能障害といわれ,心疾患に対する理学療法のリスク管理の指標としては重要となる。しかし,LVEFの低値が運動中止基準とはならなない。近年,我が国では高齢化が進み,65歳以上の割合が総人口の25%となり,「超高齢社会」となった。必然的に理学療法分野においても対象者の高齢化が進んでいくことは容易に想像することができる。特に老年期には心不全の発症頻度が増加するため,脳血管疾患や整形外科疾患などにおいても心疾患の既往を有している可能性が高くなり,重複した障害像を認める時代を迎え,高齢者の心臓の特徴を踏まえた循環障害に対する理学療法が重要となる。本稿では心臓の解剖・生理の基本,心不全の病態・典型的症状,心不全に対する理学療法について詳述する。
  • 星 孝
    2015 年 26 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    肺の器質的病変が無くても,慢性的に臥床状況を呈する症例の呼吸機能は,狭い範囲の身体活動状態に適応し,低い状態で安定する傾向を持ちやすい。低い呼吸状態と低いレベルの身体環境は,肺炎などの二次的合併症の惹起率を高め,また,症例を現状の活動レベルから向上させようとする理学療法展開の際に問題になる。慢性臥床例の呼吸機能の低下は,換気能の低下に起因することも多く,それは,廃用と低活動状態の相互作用により影響される。これらのことから,理学療法士が慢性臥床例の呼吸機能を好転させる方向に導くためには,換気低下に影響する肺器質以外の因子にも目を向け,それらの因子の改善と,その改善から,次に症例の全身状態に対し良好な連鎖関係が及ぶように導くという指向が重要である。
  • 藤澤 宏幸
    2015 年 26 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    生体システムは複数のサブシステムの集合体として存在しており,運動を入力,呼吸循環応答をシステムの出力として捉え,そのセンシングと制御について理解することが必要である。また,サブシステム間の調和がなければ各々の機能も十分には発揮できない。特に呼吸と循環の連関は生命維持にとって,最も基本的であり,生命に直結するものである。運動は生体の恒常性(ホメオスタシス)に対する一種の外乱となる。一回拍出量を増加させるために収縮期血圧が上昇するが,そのためには動脈圧受容器反射の変調が必要となる。さらに,心拍出量を増加させるために,洞結節の固有心拍数を超える心拍数を実現するためには交感神経活動の亢進が必要なる。また,その活動亢進時の運動強度は嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold; AT)に相当する。安静に対して運動を非常な状態として捉え,生体システムの応答を総合的に捉えることが理学療法士に要求されている。本稿では, 比較生理学に基づいてヒトの呼吸・循環器システムの特徴を概観したのち,運動時に対する呼吸循環応答と制御機構について論じる。
  • 合田 尚弘
    2015 年 26 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
  • 竹内 雅史
    2015 年 26 巻 1 号 p. 40-42
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
  • 坂上 尚穗
    2015 年 26 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
特別寄稿
研究報告
  • 栗村 竜也, 相沢 亮太, 工藤 舞, 武内 寿吉, 本間 里美, 小林 武
    2015 年 26 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/22
    ジャーナル フリー
    【目的】ゴニオメーター(以下,ゴニオ)および目測との比較を通して,Reference Angle Board(以下,RAB)を用いた関節可動域検査の特性を明らかにすること。【方法】検査者は健常成人72名とした。右股関節屈曲運動の自動的関節可動域を,40度,70度,110度の3種類の設定角度とゴニオ,RAB,目測の3種類の測定方法の組み合わせで計9通りの測定を行い,その測定誤差と所要時間を記録・分析した。後日,同様の測定を行い初回と比較した。【結果】RABの角度誤差は,ゴニオと比較すると設定角度40度と70度で有意に大きかった。設定角度別では,70度と110度よりも40度で有意に大きかった。測定時間は,初回ではRABとゴニオの間に有意差はなく,それらよりも目測が有意に短かった。再検査時には,目測,RAB,ゴニオの順に測定時間が短かった。【結語】特定条件下ではあるが,RAB測定がゴニオよりも速く,目測よりも正確に測定が可能であることが示唆された。
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