理学療法の歩み
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特別寄稿
  • ―適切な運動療法によりアクシデントを防ぐ―
    高橋 哲也
    2021 年 32 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/13
    ジャーナル フリー

    第23回宮城県理学療法学術大会での特別講演「運動療法時のリスク管理の要点~適切な運動療法によりアクシデントを防ぐ~」の内容をまとめた。まずは,理学療法のリスク管理と予防理学療法について,「脳卒中・循環器病対策基本法」の成立までの道のりや,「循環器病対策推進計画」の重要性について解説した。特に日本での予防理学療法の発展に期待を寄せた。続いて,運動療法時のリスク管理の要点について,血圧や脈拍数の管理,用量-反応関係(Dose–Response Relationships)の重要性,運動強度の設定の必要性,バイタルサインズの理解について解説した。そして最後に,理学療法士は,再発予防,再入院予防,重症化予防により力を入れて社会のニーズに対応すべきであると提言した。

  • ―産業保健の視点から―
    佐藤 友則
    2021 年 32 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/13
    ジャーナル フリー

    腰痛は,本邦の国民生活基礎調査でも常に上位に名を連ねるごくありふれた症状である。職場での腰痛発生の要因には,動作要因や環境要因,個人的要因がある。近年では,仕事上のストレスや過重労働,恐怖回避思考などの心理社会的要因も腰痛の慢性化や再発に関与すると考えられている。産業保健における腰痛予防介入の主軸は,人間工学に基づいた動作分析による安全な作業方法の提案や機器導入などの作業環境改善の提示,腰痛予防のための運動・身体活動の指導であり,理学療法士の知識や技術が活用できる。また,腰痛の原因には肥満や喫煙,ストレスなどの健康問題も関連することから,産業保健スタッフとの連携を密にした集学的アプローチの実践が望ましい。

  • ―スポーツ傷害と向き合う上で考えておきたいこと―
    田中 直樹
    2021 年 32 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/13
    ジャーナル フリー

    本邦での国民のスポーツに対する意識が向上しているなかで,同時にスポーツ傷害についての研究も進んでいる。また,近年スポーツ傷害について一次予防についての報告が多くなり,理学療法士の研究活動がスポーツ現場に直接貢献し始めている。予防については,傷害発生の要因を把握することが重要であるがスポーツ傷害は選手の内的要因のみで発生するのではなく,選手の心理社会的側面や行動学的側面を含めた分析が必要である。「スポーツ傷害の基本サイクル」を理解し活用することで,整理された情報のもとで傷害発生を捉えることができる。再発予防という観点では傷害発生の原因動作に着目したトレーニングが重要であるが,段階的復帰の基準は明確にしておく必要がある。特に再発予防の設定は再発を繰り返しやすい障害において非常に重要である。本稿では,スポーツ傷害の発生要因と予防の基本的な考え方を述べた後に,今後スポーツ活動のサポートを望む理学療法士がおさえておくべき注意点やポイントをまとめた。

研究報告
  • 嶋田 有紗, 吉田 英樹
    2021 年 32 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/13
    ジャーナル フリー

    人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty: 以下,THA)は疼痛緩和に有効であるが,約10%の患者が慢性痛を発生するとされている。慢性痛発症の危険因子として術前の心理的要因の関与が指摘されている。心理的要因が急性痛へ与える影響を明らかにできれば,より早期から急性痛に対応し,慢性痛を防ぐことが期待できる。目的はTHA患者の術前の心理的要因が術後痛に影響するか検討することである。対象は当院でTHAを受けた12名とした。JHEQ,PCS,PSEQ,HADS,CSI-9を術前に聴取し,術後1~3日目にそれぞれ安静時の創部痛をVisual Analog Scale(VAS)にて計測した。結果,PCS ,HADS,CSI-9とVAS間に有意な正の相関,PSEQとVAS間に有意な負の相関が認められた。術前の心理状態が術後の疼痛に影響することが示唆され,術前より術後痛の経過や対処法の指導を実施するなど心理面からの介入を行っていくことが重要である。

  • ―インプラント設置位置の評価―
    川上 真吾, 榊 望, 藤澤 宏幸
    2021 年 32 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/13
    ジャーナル フリー

    〔目的〕回復期リハビリテーション病棟におけるTHA既往症例の手術に関する情報および理学療法評価を後方視的に調査し,画像所見から算出可能なインプラント設置位置に関する評価の必要性を検討すること。〔対象と方法〕2010年1月~2017年9月に入院したTHA既往症例7名9肢とした。インプラント設置位置についてはカップ外方開角および前方開角,femoral offsetを指標とした。〔結果〕全例で手術記録はなかった。インプラント設置位置を算出した結果, 外方開角において基準角度範囲から外れていたのは3肢,前方開角で2肢であった。femoral offsetは最大で約1.0 cmの左右差を認めた。〔結語〕THA既往症例におけるインプラント設置位置の評価は重要だと推測された。

活動報告
  • ―骨粗鬆症リエゾンサービスと骨粗鬆症マネージャーの紹介―
    水戸 奈津美, 佐藤 綾香, 佐藤 明広, 伊勢田 大地, 横山 蓮, 渡邉 好孝
    2021 年 32 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/13
    ジャーナル フリー

    世界保健機関は,「骨粗鬆症は,低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患である」と定義している。骨粗鬆症は病的な疾患で脆弱性骨折が生じやすくなるため,予防および治療が必要不可欠である。医療法人松田会松田病院では理学療法士が2015年に骨粗鬆症マネージャーを取得し,その後,2018年に院内に骨粗鬆症リエゾン委員会を設立した。委員会では,骨粗鬆症の予防と早期より治療を開始すること,ならびに,治療継続率向上のために骨粗鬆症リエゾンサービスを多職種で連携し実施している。人生100年時代に突入している今,メディカルスタッフは骨粗鬆症による脆弱性骨折の超早期から予防に関わることが重要である。骨粗鬆症の早期発見と治療の重要性を訴求することによって,その身体的効果と社会的な意義を共有し行動できる理学療法士を増やすことが,宮城県民の運動器疾患を減少させることに寄与すると考えている。

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