理学療法の歩み
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特別寄稿
  • 山田 実
    2024 年 35 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/29
    ジャーナル フリー

    3年間にも及んだコロナ禍を経て,介護予防・フレイル対策の重要性はこれまで以上に高まっている。この3年間,介護予防・フレイル対策の根幹とされる身体および社会活動は著しく制約を受け,身体機能は低下,要介護化を促進することとなった。一方で,これまで介護予防・フレイル対策の要とされる通いの場の参加率はコロナ禍の前の水準には遠く及ばず,未だコロナ禍の影響を受け続けている。ポストコロナと呼ばれる今,これまでの介護予防・フレイル対策を踏襲しながら,新しい価値を創造していくことが求められている。今,介護予防・フレイル対策領域におけるセラピストの需要および期待度は高まり続けている。この10年だけみても,介護予防領域で活躍するセラピストは激増しており,その経験値や専門性は飛躍的に上昇した。それに伴い,これまでの「リハビリテーションの知識を地域へ還元」から「リハビリテーション専門職が有する介護予防・フレイル対策の知識を地域へ還元」へとシフトし,セラピストへの期待度も高まっている。

  • 竹林 正樹
    2024 年 35 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/29
    ジャーナル フリー

    行動経済学は,健康の大切さを頭でわかっていても認知バイアスの影響で行動できない人をターゲットに,有限なリソースを配分して満足度を高めていくことを分析する学問である。中でもナッジは認知バイアスの特性に沿って望ましい行動へと促す手法である。ナッジは他の介入に比べて費用対効果が高く,健康教室にナッジを用いることで,健康行動を実行する可能性が高まる。一方,ナッジは行動を継続させるほどの効果は期待できないなどの限界があり,限界を踏まえた活用が求められる。

講座
  • ―ヒトのエンジンを動かすプロとして少し知っておきたいこと―
    伊藤 大亮
    2024 年 35 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/29
    ジャーナル フリー

    心臓リハビリテーション(心リハ)はガイドラインで示されているとおり,エビデンスが高く,ゆえに診療報酬点数も高い。多くの研究によってその有効性が証明されているからである。心リハは多職種が包括的にアプローチするという特色があり,ゆえに知識の共有と質の担保が重要であるため,日本心臓リハビリテーション学会が心臓リハビリテーション指導士という認定資格を設けている。心リハのエビデンスが高い理由の一つとして運動療法の有効性があげられ,心肺運動負荷試験による評価と運動処方が要の一つである。心リハは時にハイリスクであり,包括的かつ詳細な病態把握が重要である。

研究報告
  • ―予備的研究―
    荒木 草太, 松浦 央憲, 佐藤 洋介, 野路 慶明, 木山 良二, 髙村 元章
    2024 年 35 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/29
    ジャーナル フリー

    【目的】脳卒中片麻痺者の歩行に対する主観的評価と歩容の関連性を検討することである。【対象】対象は回復期病棟に入院した脳卒中片麻痺者22名。【方法】退院時に歩行に対する主観的評価を測定し,身体機能および歩容との関連を相関分析を用いて検討した。【結果】歩行の難易度に関する主観的評価は麻痺側股関節伸展角度(rs=-0.530, p=0.011)と歩行定常性の前後・側方・鉛直方向(rs=-0.498-0.451, p<0.050)が有意な負の相関関係を示し,歩行中のバランスに関する主観的評価では麻痺の重症度(rs=0.444, p=0.038)が有意な正の相関関係を示し,骨盤加速度のRoot Mean Squareの前後・鉛直方向(rs=-0.444,rs=-0.592, p<0.050)が有意な負の相関関係を示した。【結語】歩行の難易度に関する主観的評価は,歩容の安定で認識している可能性を示唆し,歩行中のバランスに関する主観的評価では体幹動揺の少ない人がふらつきを自覚している可能性が示された。

活動報告
  • 橋本 優真, 佐藤 衛, 我妻 昂樹, 水戸 奈津美, 三田村 徳, 鈴木 博人, 渡邉 好孝
    2024 年 35 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/29
    ジャーナル フリー

    E-nudge委員会は,宮城県理学療法士会の中で若手と女性の活躍推進,国際協力推進の役割を担うため,2019年に発足した。当委員会は,宮城県理学療法士会の情報発信の簡素化を図り,当時の登録者432名を対象に研究活動,働き方および国際分野について会員の意見を収集した。働き方については,定年まで理学療法士として勤めるイメージがつかないと回答した者が約7割にのぼり,理学療法士としてのキャリアに関する支援が必要であることが明らかとなった。理学療法士の働き方や活躍している理学療法士の活動の背景をテーマとし,当委員会はTSUNAGUと称した企画を開催している。活動を通じて得られた成果として,会員が情報にアクセスしやすい仕組みを醸成できたこと,17名のメンバーからなる能動的な活動を行う集団を形成できたこと,コロナ禍においてオンライン会議システムを活用しながら講師と参加者を繋ぐ架け橋になることができたことが挙げられた。

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