調査期間の前半では東西流が,後半では南北流が卓越していた.このときのエネルギー構造を調べたところ,外部からの熱エネルギーは波数5の波より大きいじよう乱に与えられ,それ以下の規模のじよう乱の有効ポテンシヤルエネルギーは帯状有効ポテンシヤルエネルギーからの転換によって補給されていた.そしてこのエネルギーは運動エネルギーに移されるがそのかなりの部分は摩擦によって失われ,残りは帯状流運動エネルギーに変換されていた.また,各成分の中では小規模じよう乱(波数5の波が境界)から大規模じよう乱えと移されている.すなわち,大規模じよう乱は熱酌にはエネルギー源,力学的にはエネルギーの消費者になっていて,帯状運動エネルギーと帯状有効ポテンシヤルエネルギーとの間には一方的関係はなさそうであるが,ここの取り扱いでははっきりしたことはわからない.
これらの2領域はスペクトルからみてもまったく,異なった形をしており,μ-成分とν-成分の差異は大規模じよう乱で大きく,この領域では東西成分が卓越していた.その他,これら2つの領域はいくつかのきわだった特長を示している.なお,大気大循環に適当な摩擦係数は0.58×10
-5sec
-1と考えられる.
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