Papers in Meteorology and Geophysics
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10 巻, 1 号
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  • 窪田 正八
    1959 年 10 巻 1 号 p. 1-33
    発行日: 1959/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    調査期間の前半では東西流が,後半では南北流が卓越していた.このときのエネルギー構造を調べたところ,外部からの熱エネルギーは波数5の波より大きいじよう乱に与えられ,それ以下の規模のじよう乱の有効ポテンシヤルエネルギーは帯状有効ポテンシヤルエネルギーからの転換によって補給されていた.そしてこのエネルギーは運動エネルギーに移されるがそのかなりの部分は摩擦によって失われ,残りは帯状流運動エネルギーに変換されていた.また,各成分の中では小規模じよう乱(波数5の波が境界)から大規模じよう乱えと移されている.すなわち,大規模じよう乱は熱酌にはエネルギー源,力学的にはエネルギーの消費者になっていて,帯状運動エネルギーと帯状有効ポテンシヤルエネルギーとの間には一方的関係はなさそうであるが,ここの取り扱いでははっきりしたことはわからない.
    これらの2領域はスペクトルからみてもまったく,異なった形をしており,μ-成分とν-成分の差異は大規模じよう乱で大きく,この領域では東西成分が卓越していた.その他,これら2つの領域はいくつかのきわだった特長を示している.なお,大気大循環に適当な摩擦係数は0.58×10-5sec-1と考えられる.
  • 荒川 秀俊, 堤敬 一郎
    1959 年 10 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 1959/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    北日本では,一般に冬季の河川の流量は,気温の昇降に応じて増減する傾向がある.ただし北海道におけるが如く,厳冬期に零下数度になるようなところでは,真冬には気温の昇降と河川の流量との間には余り対応した変動は見られない.これらの事実を通産省発表の可能発電々力量と気象庁発表の気温に関する資料をつき合わせて実証してみた.
  • 南日 俊夫
    1959 年 10 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1959/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    海で絶対うず度が保存されることは前に報告した.さて∂η/∂t=1/f ∂(η,D)/∂(x,y)によって∂η/∂tを計算してみると東北沖で 10-11sec-2である.又この相次ぐ∂η/∂tの値は2ケ月乃至3ケ月ごとであるが,これより平均の∂2η/∂t2求をめると10-18sec-3となる.
    N回逐次計算をくりかへしてT時間後の予報を行うものとし,その誤差をうず度変化の1/10に押えるとすれば
    10-1(∂η/∂tt=10-5
    が許容誤差である.
    従つて
    今 U=2.O kt, ΔS=1° とすれば計算安定度よりΔt≦30.8hrであるから
    T<108sec<30 months,
    これから現行の海洋観測の時間間隔2乃至3ケ月と云うのはよろしいが,唯その観測範囲が予報期間に比して小さすぎる.
  • 末広 重二
    1959 年 10 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 1959/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    地震の連続観測において,記録紙の送り速度は観測条件のために最高で1mm/secである.したがつて,普通の記録装置では時間精度 0.1sec 以上をうることは難しい.
    今回自然地震の連続三点観測を実施するにあたつて, 0.01sec の精度が必要となつた.これを満足すべく,光学記録系を考えた.主な点はガルバの鏡直前に置かれた水平のスリツトとフィルム直前に置かれたシリソダーレンズであつて,これによつて時間分解能はフイルム粒子の程度にまで高められた.この方法によつて 1mm/sec の送りでも 0.01 sec がよみとれるようになつた.設計にあたつては廻折現象の影響は十分に考慮されている.
  • 南日 俊夫
    1959 年 10 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 1959/09/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    従来流速の小さい流れ程,その流向がふらつくのが観測されていて,そのふらつきの角をθとすれば θ=tan-1μ/V+ν で表わされる.実際の海では海流自体の性質から μ~~1 cm/sec,又冬季の強い風のじよう乱により√〈μ2〉~~√〈ν2〉~~20cm/secの流れが観測されている.前論文で冷水塊は黒潮の流速がV〈2.5ktの時大きくなると結論したが,これらより Vが2~1ktで10°~16° 程度の流向変動が風でひき起される可能性を示す.従つて上昇中層水が黒潮を横から押す事は勿論だが,このように黒潮が弱い時,風の擾乱で流れ自身流向を曲げることもあり両者相まつて冷水塊を形成するものと考えられる.この冷水塊が遠州沖にのみ限られる事からみて,黒潮の蛇行(これは場所に制限がない)が中冷水を吸上げるのではなく,中冷水自身が鋭角形の流の一角を這い上つて来ると考えられる.
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