従来,降水量の度数分布については,立方根正規型,平方根正規型 (本質的にはガンマ型),対数正規型,ピアソンV型など,いろいろの函数形が提案されている。いずれも決定的なものでなく,よく合ったり,あわなかったりするので,これらを総合したより一般な分布型として,3つの母数を含む,超ガンマ型分布を新たに作成した。これは従来全然なかったもので,その特別な場合として,立方根正規 ガンマ型(ピアソンIII型),ピアソンV型などを含む,もっとも一般な,降水量のどのスケールにも合う分布型であると考えられる。又降水量の伝播的性質にもよく合う型である。そこで,この報文では,東京の各種の時間スケールの降水量,新潟の月,年降水量の度数分布に,超ガンマ型分布をあてはめ,三つの母数の積率推定値,最尤推定値とその誤差を示す分散推定値を計算し,分布の適合度検定を行なった結果を報告する。いずれもかなり良い適合度をもっていることが分る。
実際に三つの母数をもとめるための図表を IBM 704で計算したので,それものせてある。それは最尤推定値,積率推定値いずれでも大してちがわないこと,適合度検定でもほとんど同じ位の適合度であることなどから,図表は積率推定をもとめる方式が簡単なので,これによって作成した。ただ,適合度検定の計算は従来の分布型よりやや面倒であるが,従来の分布型より母数を1つふやしたので,よく適合することだけは間違いない。超ガンマ分布型の母数の最尤推定,推定値の分散行列なども理論的に求め,通常のガンマ型分布に関する増山・黒岩の式の拡張になっていることも明らかである。
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