Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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15 巻, 2 号
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  • 荒井 康
    1964 年 15 巻 2 号 p. 93-118
    発行日: 1964年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    新たに定義した偏心指数(eccentric index)と40°N~70°Nの東西指数の偏差を用いて,10年間の冬の1000例の500mb天気図を9つの基本型に分類し,さらに500Nにおける波数3の波の振巾の偏差も用いて,これらの基本型を27のSubの型に分類した。基本型の1つL1型とsubの型の1つL11型は,1963年1月の500 mb天気図とかなりよく一致している。
    偏心指数は超長波と関連があり,この指数と波数1の振巾の偏差は申緯度で正相関がある。50°Nにおける波数1の振巾は,周極流の eccentricityと正相関をもつが,低指数の場合にはこの関係が時に大きく乱される。これら3つの量は本質的には同じ大循環の模様を表わすが,1963年1月の特徴をもつような天気図を選び出すのには,偏心指数がもつとも適切である。
    偏心指数を用いて天気図を分類する妥当性を,40°N~60°Nの東西指数の偏差と高度偏差の間の相関場を用いて述べた。偏心指数を用いると,極端に強い高および低指数の天気図を選び出すことが出来る。すなわち,天気図型には強い窩または低指数が起りやすい型とそうでない型があり,L1型やL11型および1963年1月に卓越した型は少くとも後者の1つであると考えられる。
    偏心指数が大きな低指数の場合に,中緯度における波数3の波の発達によつて,太平洋側に大規模な切離低気圧が形成されやすいことを示し,また50°Nにおける波数4の波が,L1型の特徴を強化するような位置で,最も顕著に定常化する傾向のあることも示した。
    L1型は1952-53年の冬にしばしば起り,また1963年1月から2月上旬に顕著に持続した。このことはL1型または1963年1月の型が,世界的規模で異常気象をもたらすという意味において,気候変動にとつて1つめ重要な型であることを暗示している。
    ここで得られた天気図型を他の天気図型と比較した。基本型はヨーロツパや日本の天候と関係があることが示される。
  • 鈴木 栄一
    1964 年 15 巻 2 号 p. 119-160
    発行日: 1964年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    雨の注意報や警報を実際に出すための1つの客観的な予報方式を判別解析論の応用によつて構成してみた。とくに離散的予報要因を入れる予報方式,最小危険予報方式を工夫し,実際に台風による西日本の降水データ,北陸地方,福井地方のワークシートを用いて解析した結果を報告する。
    ここにのべた判別予報方式では現在,物理的に得られている予報要因をつかっているが,資料数が決して充分でなく,また Independent チェックもしていないが,筆者がこれまでに得た数十種の判別予報計算結果のごく1部である。
  • 佐貫 亦男, 木村 茂, 尾花 博
    1964 年 15 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1964年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    風速1m/s以下 0.25m/sぐらいまで使える風速計で,構造簡単なものの要求がよくあるので,平板型および静止風車型を実験してみた。平板と風車羽根は軽いバルサ材で作り,実験は気象研究所の曳行水槽の台車上に乗せて低速曳行して行なつた。風速指示は,平板型で板の傾角,静止風車型で風車軸のねじれ角によるが,実験ではこれら角度を写真撮影して求めた。
    その結果,両型とも所望の性能を与えることがわかつた。とくに静止風車型は平板型のように取りつけ誤差が無いので有効である。感度をよくするためには,平板型はできるだけ重量を軽くすること,風車型は8枚羽根で羽根角45°のものが最良である。さらに感度を増し,かつ測定の精度を上げるためには,光学的または電子工学的ピックオフを考える必要がある。
    なお両型とも測定風向がわかつている場合でないと使えない。
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