新たに定義した偏心指数(eccentric index)と40°N~70°Nの東西指数の偏差を用いて,10年間の冬の1000例の500mb天気図を9つの基本型に分類し,さらに500Nにおける波数3の波の振巾の偏差も用いて,これらの基本型を27のSubの型に分類した。基本型の1つL
1型とsubの型の1つL
11型は,1963年1月の500 mb天気図とかなりよく一致している。
偏心指数は超長波と関連があり,この指数と波数1の振巾の偏差は申緯度で正相関がある。50°Nにおける波数1の振巾は,周極流の eccentricityと正相関をもつが,低指数の場合にはこの関係が時に大きく乱される。これら3つの量は本質的には同じ大循環の模様を表わすが,1963年1月の特徴をもつような天気図を選び出すのには,偏心指数がもつとも適切である。
偏心指数を用いて天気図を分類する妥当性を,40°N~60°Nの東西指数の偏差と高度偏差の間の相関場を用いて述べた。偏心指数を用いると,極端に強い高および低指数の天気図を選び出すことが出来る。すなわち,天気図型には強い窩または低指数が起りやすい型とそうでない型があり,L
1型やL
11型および1963年1月に卓越した型は少くとも後者の1つであると考えられる。
偏心指数が大きな低指数の場合に,中緯度における波数3の波の発達によつて,太平洋側に大規模な切離低気圧が形成されやすいことを示し,また50°Nにおける波数4の波が,L
1型の特徴を強化するような位置で,最も顕著に定常化する傾向のあることも示した。
L
1型は1952-53年の冬にしばしば起り,また1963年1月から2月上旬に顕著に持続した。このことはL
1型または1963年1月の型が,世界的規模で異常気象をもたらすという意味において,気候変動にとつて1つめ重要な型であることを暗示している。
ここで得られた天気図型を他の天気図型と比較した。基本型はヨーロツパや日本の天候と関係があることが示される。
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