Papers in Meteorology and Geophysics
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18 巻, 4 号
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  • ジェントリー R.C.
    1967 年 18 巻 4 号 p. 293-310
    発行日: 1967年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    最盛期のハリケーンIsbe11の広範囲な観測飛行が1964年10月14日に行なわれた。850mb,700mb,550mb,200mb,150mbおよび下部成層圏で集められた資料は,このあらしが海面から115mbまではwarm core(眼の中では正常値よりも15°C以上暖かい)を,そして115mbと90mbの間ではcoldcoreを形成したことを示している。あらしの中の対流活動は非常に激しく,雲は成層圏にまで侵入したが,分離した雲のあるものはトロポポーズの2、5km上に突き出た。下部成層圏(トロポポーズから4000ft以上の高さで)の温度は正常値よりも1.8°C乃至7.6°Cほど低かった。ハリケーンの中心付近では成層圏の中でさえ,非常に安定な気温減率であって,10海里につき5°Cであった。
    低気圧性の風の循環は下層の最大116ノットから115mbにおけるゼロ近くまで減少し,トロポポーズの近くの層ではやや増加した。しかしながら,トロポポーズと下部成層圏で測定された非常に弱い風の場が真に低気圧性であったかどうかを判定するには資料がじゅうぶんでない。
    トロポポーズは,少なくとも限の壁の周辺以遠では中心からの距離に反比例して高度が変化したが,ハリケーンの上では異常に高くそして冷たかった。眼と眼の壁の上のトロポポーズの傾きを定めるには資料が不足であった。
  • 三宅 泰雄, 金沢 照子
    1967 年 18 巻 4 号 p. 311-326
    発行日: 1967年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    大気オゾンとSr-90フォールアウトの季節変化を,カナダ,インド,日本,イギリスおよびアメリカ合衆国のいろいろな地点について比較した。その結果は,大気オゾンの変化の極大は,43例中17が3月に,11が4月に観測されたことをしめした。一方,極小は10月と11月に多く観測された。Sr-90フォールアウトについては,4月および5月に極大が,8月から9月に極小が最も多く出現した。
    大気オゾンと放射性ちりの成層圏からの流出のはやさは,たがいに比例すべきであるから,成層圏における大気オゾン収支の研究には,季節変化をともなう,オゾンの速い除去(成層圏からの)についても考慮すべきことを指摘した。
  • 高橋 浩一郎
    1967 年 18 巻 4 号 p. 327-343
    発行日: 1967年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    設計荷重をきめる際に問題となる,再現期間及び設計荷重そのものの統計的性質を,モンテ・カルロ法によって吟味してみる。その結果はつぎの如くである。
    建造物を造る場合に設計の基礎となる,年最大風速とか,年最大日降水量などの値は,年々統計的に独立に現れると仮定し,モンテ・カルロ法によりそのモデルの時系列をつくる。すなわち,具体的には乱数表からたとえば4字つつ取り出し,この4字の示す数値を10,000分率と考え,これが年々の最大値の起る超過確率に対応するとする。つぎに,年々の最大値が現れる超過確率はわかっているとしてその形を与え,上記の時系列の示す超過確率の値を,年の最大値に換算する。これが年の最大値のモデルとなる。
    この時系列において,N年間の最大値を求め,その性質を調べてみると,一見起りそうもないような,割合大きな値が時に現れる。そして,その期待値は,一般にはN年の再現期間に対応する値ではなく,むしろ2N年の再現期間に対応することが多い。
    N年の再現期間に対応する値を,過去の順位別実測から推定する式としては,Hazen,Fuller,Gringortenなどいろいろ知られている。現在の方法で吟味してみると,これらの推定式の違いは,超過確率の関数形によるものであって,どれも間違いというわけではない。しかし,ふつうの場合には,Hazenの式が手頃のようである。
    再現期間に対する値の推定値の誤差の程度を知るため,モデルの時系列の値を用い,母集団の性質はわかっていないとして,いろいろな再現期間に対応する値を推定してみた。そして,母集団の値と比較して誤差を求め,推定値の誤差を見積る実験式を求めた。
    最後に,N年間の観測値の中の最大値に,安全率α を掛けたものを設計荷重にした場合,建造物の寿命がどうなるかを調べた。観測年数が短かいと寿命の変動が大きく,安全率を大きくとらないと災害を受ける確率が大きくなる。観測年数,安全率及び建造物の使用年限を与え,災害を受ける確率を推定する表を作成した。
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