Papers in Meteorology and Geophysics
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19 巻, 1 号
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  • 朝倉 正
    1968 年19 巻1 号 p. 1-68
    発行日: 1968/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    本論は日本における汎天候と東アジアにおける大気大循環との関係を動気候学の立場から論じたものである。その内容はつぎの3部に分かれる。すなわち,(1)日本における汎天候と上層気流型との統計的関係,(2)東アジアにおける特徴的な上層気流型の形成とその動気候学,(3)梅雨型気流型の形成とチベット高原付近における大気の環流と熱源との関係。
    つぎにそれらの要旨を述べる。
    日本の汎天候と東アジア上空の気流型とには密接な関係がある。気流型を系統的に分類すると,高指数帯状流型,低指数帯状流型,谷型,波型,夏型,阻塞型に分けられる。また日本の異常天候はしばしば帯状流型と阻塞型の気流型のときにおきるが,これらの特徴的な流れはヨーロッパやアメリカ上空の気流型とも偏西風波動によって互に関連しておきている。統計的にしらべても中央ヨーロッパと東日本の冬季気温はよく似た変動をくりかえしている。これは偏西風波動に内部相関があってヨーロッパ尾根-中近東谷-束アジア帯状という偏西風波動の配列になっているためである。
    阻塞型気流型塑は寒波吹出し,梅雨,秋霖という東アジアに特有な天候と密接に関連している。この型が形成される総観的経過を動気候学的に解析すると,この気流型は東アジアだけに局限して存在するのでなく北半球的な規模で互に関連し合って生起し維持されている。たとえば秋霖のときの阻塞型気流型はつぎのような、段階で形成される。(1)8月末頃から台風が日本付近を北上し偏西風帯に突入する。(2)それまで帯状であった偏西風帯によわいながらも新しい谷が形成され,台風が運んできた暖気を北方に輸送する。(3)東方の尾根が強化され,その影響はほぼ群速度の速さで伝繙し北半球をとりまく偏西風帯の谷や尾根が発達する。(4)北極地方に蓄積されていた寒気は谷にそって南下し低緯度地方の暖気は尾根にそって北上し東西方向の運動を阻塞するようになる。(5)そして遂にはオホーツク海付近の暖気団は南の暖気団と分離しそこに阻塞型気流型が形成されて日本に秋霖がもたらされる。
    冬季の阻塞型気流型の形成は秋霖の場合と異なる。冬季高緯度地方の大気はいちぢるしく冷却され・低緯度地方の大気は加熱されるので南北方向の温度傾度は大きい。寒気が北極地方に滞留し冷却される間は帯状流が強く日本の冬は温暖である。しかし南北の温度傾度がある程度以上強くなると大規模な熱交換がおこる。この熱交換は南ヨーロッパ上の気圧の尾根の形成によって始められる。この尾根は発達しながら北西方向に移動しイギリスを経てグリンランドにまで達し偏西流を阻害する。この変形のためヨーロッパ上に谷,シベリア北方と北米西岸に尾根が発達する。これら2つの尾根は北方に進み遂には日本の北方で併合する。このとき東アジア上空に阻塞型気流系が形成され持続的な北西季節風の吹出が始まる。この変化は偏西風波動の波数2の波が他の波に運動エネルギーを供給し,波数2は帯状流からエネルギーが補給され,帯状流は南北の温度傾度によって維持される。
    初夏における日本の梅雨は典型的な阻塞型気流系の形成にともなってはじまる。丁度その頃印度では南西モンスーンの雨期が始まる。これはチベット高原付近を通る偏西風帯が北上する季節変化と関連している。また,オホーツク海高気圧,九州南方の低圧帯と印度のモンスーン低気圧との間には相互に統計的に有意な関連をもち,印度の南西モンスーンが活発になると梅雨も活発になる。このように梅雨と南西モンスーンとはかなり離れた地域の季節現象であるにもかかわらず,統計的に有意な関係があるのは,チベット高原付近の大気環流の変動が直接的に南西モンスーンを支配しているが,間接的には偏西風の変動を通じて東アジアの天候に有意な影響をもたらすためである。チベット高原付近の高気圧性循環が強いほど,梅雨期には東アジァの阻塞型気流系が強く夏期には北日本冷夏西日本干魃・暑夏型の気流型が形成される。
    また,熱的条件ではチベット高原付近は大規模な熱源,東方洋上に冷源があり,日本はその中間に位置している。熱的効果をみるために北半球1000,700,500mbの3層を用い,外力のように冷熱源を作用させその影響を電子計算機によって算出した。その結果はつぎのようにまとめられる。
    (i)日本の東方洋上の冷源だけを作用させると弱い尾根がオホーツク海付近に形成されるが,偏西風に流され停滞しないので梅雨型気圧配畳は形成されない。
    (ii)チベット高原付近の熱源を作用させ東方洋上の冷源を作用させないと印度付近に定常的な谷が形成される。これはモンスーン・トラフに対応するものであろう。しかし,束アジアには阻塞型気圧配置は形成されない。
    (iii)チベット高原付近の熱源と東方洋上の冷源を一緒に大気に作用させると印度付近に定常的な谷,東アジアに阻塞型気流系が形成される。
    すなわち,
  • 荒川 正一
    1968 年19 巻1 号 p. 69-99
    発行日: 1968/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    北海道に起ったいくつかのおろし風,だし風についてその共通した特徴をあげた。とくに上空に逆転層のあることに注目して,逆転層下の気層の平均流方程式を導いた。
    横幅が徐々に変り,底の高さも変化するような流路にこの方程式を適用し,定常状態における性質を吟味した。その結果,山を越す流れと,谷間を吹きぬける流れとは地形によって同じような影響を受けることが知れた。また亜波速の流れと超波速の流れとでは地形による加速のされ方が逆になることも知られた。亜波速流が頂上(または最狭部)で臨界流に達すると,その下流には超波速流が期待される。もし下流のフルード数が上流と等しいならば,頂上において逆転面の傾斜に不連続が生じて,流れは元へ戻るが,下流の逆転面の高さが何らかの原因で低いときには,山蔭に超波速流が生じて,条件次第ではふもとまで達し得る。だし風についても同様のことが言える。
    上の結果をいくつかのだし風, おろし風に適用したところほぼ満足すべき結果が得られた。すなわちおろし風,だし風は山蔭または谷の開口部に現われる超波速流と解釈することができる。
  • 丸山 晴久
    1968 年19 巻1 号 p. 101-108
    発行日: 1968/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    北陸地方において,冬の季節風のとき形成される対流雲から,あられのみで構成されたしゅう雪がしばしば観測される。輪島における観測から,あられの大ささは直径0.2から10mmの範囲にあった。小さいあられを主とする降雪の観察から,その中に大雲粒の凍結したと思われる透明な凍結粒子や雲粒を多くつけた小さい雪結晶がみいだされた。直径2mm前後以下のあられは粒状のものが多く,それ以上の大きさでは円錐形のものが大部分をしめていた。円錐あられは大きくなるとその底面は球面となる。この形を考慮して比較的正確に体積を算出して密度を求めた。2~7mmの大きさの範囲の密度は平均o.3969/cm3で,大きさには無関係であった。またこれらの観測から,円錐あられは大雲粒の凍結粒子または小さい雪結晶がそのもととなって付着成長する過程で形成させたものと推定される。
  • -余震活動の初期および後期におけるその回数の減少について-
    山川 宜男
    1968 年19 巻1 号 p. 109-119
    発行日: 1968/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    まず余震回数の減少を表現するため宇津等によって提出されている改良大森公式n(t)=A/(t+c)pは,パラメーターが多いという難点はあるが,余震活動の全期間を表現するのに,第1近似として最もよいものであることを指摘し,次にこの公式に表われるパラメーターcは本震にともなう破壊の継続期間に関係する,したがってまた,その破壊の大きさ複雑さを表わすパラメーターと考えられることを指摘した。
    更にこの研究の第3報で報告した,たとえば新潟地震の場合における様な,余震活動の前期と後期における震央分布の集中性とランダム性という相違は,時間分布における初期の大余震集中,および千秋,ロムニッツ等によって指摘されている後期のランダム性と密接に関係していることを指摘した。
  • 嘉納 宗靖
    1968 年19 巻1 号 p. 121-129
    発行日: 1968/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    レーザー・レーダーによる大気の後方散乱関数および減衰係数を求める一方法を提出した。従来大気の後方散乱関数をレーザー・エコーより求めるのに,光の通過路程の透過関数を仮定して求めているが,これはかなりの誤差を伴う。一方後方散乱関数が分っていても,減衰係数はこれから一義的に求め難い事が論じられている。
    この論文では大気の後方散乱係数をレーザー・エコーより求めるのに通過路程の透過関数についてなにも仮定せずに大気が水平に成層していることのみを仮定して二方向のエコーの測定より大気の後方散乱関数を求め,又この散乱関数を用いてレーザー・レーダー方程式より導かれる微分方程式を数値的に解くことにより減衰係数が一義的に求められることを示した。
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