Papers in Meteorology and Geophysics
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20 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 今田 克, 股野 宏志, 小松 巌
    1969 年 20 巻 1 号 p. 1-26
    発行日: 1969/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    対流不安定や潜圧不安定の気層はそのままの状態では安定に移流し得るから,例えぽ山などはこれを乗り越えないで迂回し,豪雨地点まで途中無事に到達し,その地点で初めて不安定を解消して集中豪雨が発生すると考えれぽ豪雨の局地性ないし集中性が説明できる。このような気層を「不安定を内蔵する気層」と称し,この概念をとり入れて流線図を作製すると,気流の合流点が豪雨地点と対応して豪雨発生前に求められる。この研究では西日本の豪雨の主要な型の1である一般場が南西風の場合を扱い,総観局面によって発生する2つの主な豪雨系,即ち豊後水道系と紀伊水道系が主として作業的見地から論じられる。
  • 大雲粒の新らしい測定法
    佐粧 純男
    1969 年 20 巻 1 号 p. 27-40
    発行日: 1969/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    暖い雨は,吸湿性巨大核に凝結した直径50μ以上の大雲粒が,よりちいさい雲粒を捕集し成長したもので,その間の物理過程もかなり明らかにされてきた。
    しかしこの大雲粒の空間密度は,一般雲粒にくらべはるかにちいさく,その測定はむつかしい。
    この論文の第1部は,大雲粒の出現を半定量的に連続記録する測器の開発について述べてある。その目的は大雲粒の出現と雲の力学的微構造との関聯から,暖い雨の形成過程が雲のlife cycleの中でどの様に行なわれているかを見るためである。
    原理は感雨器と全く同じで,第1図に示すとおり,直径約1.5cm,長さ5cmのガラス管又は絶縁塗装をした金属管に,太さ100μ の銅線2本を一定間隔を保って巻き付けたもので,この間隔以上の大きさをもつ雲粒が銅線間にまたがって落ちるとリークをおこすようにしてある。尚sensorにおちた雲粒はすぐ蒸発する様にパイプ内にヒーターを入れてある。実際に使用しているものは,間隔50μ,100μ 及び200μ で夫々50μ,100μ,200μ 直径の雲粒を検出する,
    第3図は記録の一部で,リークをパルスとして取出してある。これから1分間あたり,sensorにおちた雲粒数を求めヒストグラムに示したものが第4図である。
    野外観測の結果を第8図に示した。詳しいことは,次の論文で述べるとして,200μ 以上の大雲粒の出現前には,50μ 以下の一般雲粒concentrationが,fluctuationを伴なって増加していることが判る。第2部では,大雲粒の粒波分布は,写真フィルムが適しており,これを用いて永久的な記録を得る簡単な方法が記してある。
  • 新らしい微風向計の開発
    佐粧 純男
    1969 年 20 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 1969/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    熱線風速計を利用した微風向計を開発し,野外観測に使用した.測定可能な風速は約15c搬以上である.
    構造は第1図(a)(b)に示す如く,直径3cm,長さ6cmの中空円筒の上下に巾3cmのドーナツ状の「ツバ」を付け鼓形にする.これを仕切板A,B,C,D,で四象限に区切り,夫々の象限中央なるべく外側に,太さ50μ,長さ約1cmの白金線P1, P2, P3, P4をたて,その両端は太さ0.1cmの真鍮棒で支持する.第1図(b)はこの傭鰍図で,白金線及び仕切板の配列の様子を示したものである.
    これらの自金線の両端は2~3Voltsの電圧をかけ熱線風速計と同じ働らきをさせる,更に相対する白金線P1-P3, P2-P4を組込んだ2組のWheatstone bridgeを作り,これらbridgeのoutputを夫々別々にscirographに記録させる.この装置全体は内径9cm,長さ6cmの太いPipeでピッタリとおおう.但しこのpipeには白金線の位置する部分に直径0.5cmほどの小穴をあけ,風向に面した白金線に直接風が当るようにしてある.又この風の逃げ道として仕切板とpipeの間に0.5mm程度のごく細い隙間を開けておく.今任意の白金線例へばP1を真北に向けると,P2, P3, P4は西,南,東,を向いて配列される.
    測定の始めに風を完全に遮断し2つのbridgeを夫々平衡にしておく,これに北風が吹くとP1-P3を含むbridgeの平衡が崩れ,記録器は一方向に振れる,この振れは南風に対しては逆になる,この間もう一方のbridgeは平衡を保っていることは勿論である.東,西風に対してはP2-P4を含むbridgeが同じ様に作用する.又北東風の場合は,P1-P3を含むbridgeは北を, P2-P4 bridgeは東を指す,従って2組の記録を組合わせることに依って風向を8方位で示すことが出来る.
    第2図は各風向と記録の関係を模型的に示したものである.
    第3図は実際に使用しているもので,真中にthermistor風測計を備えている.
    第4図は実際の記録を示したもので,上の2段はthermistor及び白金熱線風速計に依る風速変化,中の2段が風向計の記録を示したもので,下の2段は,この記録をパルスに変換したもので,ほぼ風速20cm/sec以上の風速を記録しているようである,との記録は室内の換気を調べたときのものである.
    第5図は野外観測の結果で特に5時から6時すこし前即ち日の出前の風向の交互の変化,それに対応した風速,温度の変化は,微風時のair massの運動を示すものとして興味がある.
    第6図は同じく,風向変化と霧の出現,消散との関係を示したものである.
  • 和達 清夫, 広野 卓蔵, 湯村 哲男
    1969 年 20 巻 1 号 p. 49-78
    発行日: 1969/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    i)S波吸収の強さの地域的分布を深発地震のloog(A/TB)-△ 曲線によって調査し,日本の地下における地震波の吸収係数を求めた。それらは平均値として,西日本に対しては 4.6×10-3/km,東日本では10-4/km程度である。
    ii)震源分布から地震活動帯(SA-zone)の構造を明らかにした。SA-zoneは浅発地震活動帯(SSA-zone)と深発地震活動帯(DSA-zone)とに大別され,その分岐線が,ほぼ盛岡一白河線(MS線)および別府一鹿児島線(BK線)に沿っていることを明らかにした。これらの線は活火山帯と位置的に密接な関係がある。
    iii)地震波吸収の強さは一般にSA-zoneにおいて小さく,その他の地域で大きい。特に,SSA-,DSA-zoneにはさまれた地域(SD-Gap)においては分岐線に近い部分ほど大きく,それより遠ざかるにしたがって小さくなる。
    これらの事実と異常震域との関連について述べた。
  • 高木 聖
    1969 年 20 巻 1 号 p. 79-89
    発行日: 1969/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    従来,震度は最大加速度でおきかえられるように考えられて来たが,それはまちがいであることがわかった。
    松代地震の際,長野地方気象台で観測した地震記象と震度とを用いて,地震動の最大変位,最大速度,最大加速度,最大エネルギー値等と震度との間の関係を調べたところ,震度を規定しているものは,最大エネルギー値であることがわかった。
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