熱線風速計を利用した微風向計を開発し,野外観測に使用した.測定可能な風速は約15c搬以上である.
構造は第1図(a)(b)に示す如く,直径3cm,長さ6cmの中空円筒の上下に巾3cmのドーナツ状の「ツバ」を付け鼓形にする.これを仕切板A,B,C,D,で四象限に区切り,夫々の象限中央なるべく外側に,太さ50μ,長さ約1cmの白金線P
1, P
2, P
3, P
4をたて,その両端は太さ0.1cmの真鍮棒で支持する.第1図(b)はこの傭鰍図で,白金線及び仕切板の配列の様子を示したものである.
これらの自金線の両端は2~3Voltsの電圧をかけ熱線風速計と同じ働らきをさせる,更に相対する白金線P
1-P
3, P
2-P
4を組込んだ2組のWheatstone bridgeを作り,これらbridgeのoutputを夫々別々にscirographに記録させる.この装置全体は内径9cm,長さ6cmの太いPipeでピッタリとおおう.但しこのpipeには白金線の位置する部分に直径0.5cmほどの小穴をあけ,風向に面した白金線に直接風が当るようにしてある.又この風の逃げ道として仕切板とpipeの間に0.5mm程度のごく細い隙間を開けておく.今任意の白金線例へばP
1を真北に向けると,P
2, P
3, P
4は西,南,東,を向いて配列される.
測定の始めに風を完全に遮断し2つのbridgeを夫々平衡にしておく,これに北風が吹くとP
1-P
3を含むbridgeの平衡が崩れ,記録器は一方向に振れる,この振れは南風に対しては逆になる,この間もう一方のbridgeは平衡を保っていることは勿論である.東,西風に対してはP
2-P
4を含むbridgeが同じ様に作用する.又北東風の場合は,P
1-P
3を含むbridgeは北を, P
2-P
4 bridgeは東を指す,従って2組の記録を組合わせることに依って風向を8方位で示すことが出来る.
第2図は各風向と記録の関係を模型的に示したものである.
第3図は実際に使用しているもので,真中にthermistor風測計を備えている.
第4図は実際の記録を示したもので,上の2段はthermistor及び白金熱線風速計に依る風速変化,中の2段が風向計の記録を示したもので,下の2段は,この記録をパルスに変換したもので,ほぼ風速20cm/sec以上の風速を記録しているようである,との記録は室内の換気を調べたときのものである.
第5図は野外観測の結果で特に5時から6時すこし前即ち日の出前の風向の交互の変化,それに対応した風速,温度の変化は,微風時のair massの運動を示すものとして興味がある.
第6図は同じく,風向変化と霧の出現,消散との関係を示したものである.
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