Papers in Meteorology and Geophysics
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21 巻, 1 号
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  • 関東・東海地方沿岸の高潮
    磯崎 一郎
    1970 年 21 巻 1 号 p. 1-32
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1953年から1962年までの10年間の毎時潮位記録を用いて,関東および東海地方沿岸の高潮の一般的性質を調べた.この海岸の高潮は主として2つの機構すなわち,気圧下降による“ 吹上げ効果” と風の“ 吹き寄せ効果” によつて起っている.この海岸には東から西に向ってゆっくり伝播する海面変動が存在することが日平均潮位変動の統計的解析から明らかになっている(ISOZAKI,1969).しかしこのような潮位変動はここで解析した高潮に伴っては現われなかった.
    東京湾と伊勢湾では,水深が浅いために風の吹き寄せ効果が著しく,しばしば破壊的な高潮に襲はれてきた.これらの湾の高潮は電子計算機を用いて,ある程度数値的に再現することが可能であるので,これにょって高潮の種々の性質を調べた. 相模湾,駿河湾および外洋に面した海岸では風の吹き寄せ効果は小さく,高潮の大部分は気圧下降による吹上げ効果で説明される.
    高潮にはまた風波やうねりによる潮位上昇-いわゆる“Wave set-up”-が寄与することがある.この効果は舞坂の高潮において最も顕著で,たとえば台風“Wilda”(1964年9月25日)の高潮の場合Waveset-upによる潮位上昇は気圧下降による潮位上昇の約2倍であったと推定される.
    大島岡田港の高潮は主として気圧効果で説明されるが,このほかに台風域内のcircularな風の場に起因すると思われる潮位変動が存在する.これはKAJIURA(1956)の議論を定性的に裏付ける結果を示している.
  • 荒川 義則, 末広 重二
    1970 年 21 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    松代群発地震発生前の同地方における地震活動の状態を大,中,小および微小地震について調べたところ,次のことが明かとなった.
    1)松代附近の過去の大地震と群発地震はすべて今回の群発地域以外で発生している.つまり今回の群発は空白として残された場所に発生した.
    2)群発前8年間の小地震と微小地震の活動状態を見ると,初期の群発発生地域では活動度が低く,逆に後に群発発生地域の拡がった周辺地域で高かった.
    3)小群発活動が1963年4月から1964年6月にかけて何回か発生している.しかし発生地域は初期の松代群発発生地域と異なる.松代群発はこの活動が一旦止んでから開始された.
    4)石本・飯田のm値は群発以前には小さく(m=1.65),群発の開始と共にm=2.02に増えた.
    5)以上松代群発発生前の地震活動の状態は何人かの研究者によって言われている大地震前の活動状態によく似ている.即ち,大地震の発生前の地震活動はある期間異常に低くなり,逆に周辺地域で活溌になるという事実である.
  • 大田 正次, 伊藤 朋之
    1970 年 21 巻 1 号 p. 45-72
    発行日: 1970/07/25
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    スーパープレッシヤー気球と精密気圧ゾンデを開発し,これらと自動方向探知機(GMD-1A)とを組合わせて,高度5km,水平距離100kmの範囲の鉛直気流の測定法を実用化した.今まで富士山麓周辺,鈴鹿山脈周辺,阿武隈山地周辺において,30個の気球による観測を行なったが,得られた結果は鉛直気流の解析に役立ち,またこの方法が安定した実用的方法であることがわかった.
    気球の静特性,動特性をしらべ,近似的には気球の運動は気流の運動に等しく,必要な場合には前者を後者に換算する方法をのべた.
    気球が所定の高度で安定にバランスする条件を求め,気球の設計基準を示した.また現場での調整重量,自由浮力の計算法をのべた.
    別にテトルーンーセオドライト2点観測システムを開発した.これは低層における気流測定に有効で,すでに700個以上がその目的に利用された.
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