Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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27 巻, 1 号
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  • 岡村 存
    1976 年27 巻1 号 p. 1-20
    発行日: 1976/03/27
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    気圧座標系を用いた3層プリミティブ・モデルによって,大気の大規模運動に及ぼす力学的な地形効果の数値実験を行った。まず,線型理論から得られる解と比較するため,簡単な一様帯状流を与えた場合の初期値問題について調べた。その結果,比較的低い山の場合には理論から期待される定常解の値にほぼ近づくことがわかった。しかし,高い山の場合には,数値実験の結果は線型理論と異なり,山を越す流れよりも山の周囲を回るような流れが卓越し,しかもその波の振幅も比較的小さいことがわかった。
    つぎに,鉛直シアーをもった一様帯状流および種々の形の山を与えた場合について調べた。その結果,冬期のヒマラヤ,ロッキーおよび夏期のヒマラヤのような状態の場合には,山の力学的効果によって風下側に定常的な気圧の谷が現われることが示される。一方,夏期のロッキーおよび夏冬のアンデスのような場合はそのような気圧の谷は認められない。また,ここで用いた計算スキームの妥当性を確かめるため,山による重力波発生の模様,全領域の質量とエネルギーの保存性などを調べほぼ満足できる結果が得られた。
  • 村井 潔三, 小林 正治, 山内 豊太郎, 後藤 良三
    1976 年27 巻1 号 p. 21-32
    発行日: 1976/03/27
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    通常の観測に用いられている熱電堆式日射計2個をヘリコプターに取付け,500ftから7,000ftの間,約1,000ft間隔で上向きおよび下向きフラックスの高度別測定を行った。冬季の快晴日について5回の測定を行った。
    各高度におけるネットフラックスのdivergenceを求め,層別の吸収量を得た。水蒸気による吸収量はゾンデの観測資料から可降水量を求めMugge and Mollerが用いた計算式によって評価した。水蒸気による吸収量を差引いた残りはエーロゾルによる吸収と考え,その高度分布を画くと,その形は大気の状態によって著しい相異が認められる.500から7,000ftの間の全吸収量は,大気の混濁の著しい場合には大気上端の入射量の約20%で,この中,エーロゾルによる吸収が約17%であった。大気が極めて清澄な場合の全吸収量は約7%で,エーロゾルの成分は約4%であった.これ等の吸収によるheating rateを求めると,混濁の著しい大気の最下層が最も大きく約3.5℃/dayに達し,エーロゾル吸収によるheating rateが約3.0℃/dayである。一方,清澄な大気の場合はエーロゾル成分として約1℃/dayという値が得られた。
  • 嘉納宗 靖, 鈴木 正
    1976 年27 巻1 号 p. 33-39
    発行日: 1976/03/27
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    「水平面」放射計(下向きおよび上向き放射量を測定する放射計)を検定する装置の放射源として具備すべき条件は,
    (i)放射率が既知で大きいこと
    (ii)温度が既知で,一様かつ安定していること,
    (iii)検定中の放射計の受ける放射がすべて放射源より発していること
    である。無数の小噴水を有する水面と水面の周囲に張りめぐらされた低い滝よりなる放射源が,上記の条件を満足することを論じ,これを基にして「水平面」放射計用の一つの新しい検定装置を試作した。この検定装置は単に「水平面」放射計のみならず,通常の空洞型検定装置で検定不可能な放射計をも検定しうるものである。 現用の「水平面」放射計をこの検定装置で精度よく検定できることを示した。特に水平面放射計の測定精度に著しく影響する風による感度の変化を測定した。その結果,風のない場合に比べて5m/secの風速の場合にはGierDunkle型通風「水平面」放射計では通風と直角方向の風で約20%,通風と逆方向の風で約11%および通風と同方向の風で約1%だけ感度が小さくなる。一方Funk型および,英弘精機製風防「水平面」放射計では,風向に無関係にそれぞれ約7%および8%だけ感度が小さくなることがわかった。
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