東京地域の光化学スモッグの機構を明らかにするため数値シュミレーションを実施した。まず二酸化いおうSO
2と窒素酸化物NO
xを不活性気体と見なして移流拡散のシミュレーションを行い,使用したモデルを評価した後,光化学反応モデルを組入れて最終的な光化学反応スモッグの数値シミュレーションを実施した。移流拡散のモデルにはラグランジュ的およびオイラー的の両方の取扱い方を試みた。
詳細な気象観測の行われた日を対象にケーススタディを実施した。平均風とともに移動する気塊について考えるラグランジュ的扱いでは,観測的中心の考え方による横方向の拡散を取入れた。光化学反応モデルとしてFriedlanderand Seinfeld(1969)を用いた。
オイラー的扱いでは,移流拡散に対し「人為的拡散」をふせぐMRI-E10スキームを開発し,光化学反応モデルにはEschenroeder and Martinez(1971)および杉山(1974)を使った。
一般的にいって,SO
2およびNO
xについては一応満足すべき結果が得られたと考えられるが,光化学スモッグについてはあまりよい結果は得られなかった。光化学反応シミュレーションの一層の開発が望まれる。
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