Papers in Meteorology and Geophysics
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28 巻, 4 号
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  • 雪片の落下姿勢の研究
    佐粧 純男
    1977 年 28 巻 4 号 p. 159-168
    発行日: 1977/12/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    雪結晶が過冷却雲中を落下するとき,雲粒あるいは,他の雪結晶と衝突併合して,雲粒付結晶,あられ,雪片などの降水粒子に成長する.この併合速度は粒子間の相対速度,衝突率など粒子の落下運動や形に関係する.雪粒子の落下運動は,一般に不規則な水平運動と落下姿勢の変化を伴ない,雲粒や雨滴にくらべて,はるかに複雑である.これらの二次運動は,いずれも粒子間の併合を促進する傾向をもつと考えられる.即ち,水平運動は,粒子間の水平相対速度に依る衝突をあらたにひきおこし,落下姿勢の変化は衝突率を増加させru.
    水平運動による併合の促進については,いままでにも若干の研究が行なわれているが,落下姿勢の変化による衝突率の増加に関しては,殆んど研究が行なわれていない.
    この姿勢効果を評価するため,雪片の落下姿勢をステレオ写真解析した.得られた結果は次の通りである.
    1)観測した雪片の質量は5mg~15mg,各粒子の平均落下速度は75cm/sec~130cm/sec.であった.
    2)落下姿勢の変化は,重心の周りの不規則振動で示され,その振巾は,最大35°に達したが,多くの雪片は,5°前後の振巾で,振動しながら落下していた.
    3)振動の角速度の頻度分布は,垂直,水平成分共2つの極大をもっていた.
    4)垂直軸のまわりの角速度のモードは,0~2.5rad/sec及び7.5rad/sec~10.0rad/secで,平均角達度は3.45rad/sec即ち,毎秒1/2回転程度であった.
    5)水平軸の周りの角速度のモードは5.0rad/sec~7.5rad/sec及び17.5rad/sec~20.0rad/secで, 平均9.85rad/secで垂直軸のまわりの角速度の約3倍であった.
    6)雪片にくらべて,単一雪結晶の姿勢の変化は,振巾,角速度共大きい傾向を示した.
  • エーロゾル粒子の消散係数および粒径分布について
    村井 潔三, 小林 正治, 後藤 良三, 山内 豊太郎
    1977 年 28 巻 4 号 p. 169-184
    発行日: 1977/12/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1967年以降引続き行って来た日射の分光測定の結果について報告する.最初に試作した装置は直達日射および太陽周辺光の分光測定を目的としたもので,視野角を極めて小さくした集光用望遠鏡と複式分光計を組合せたもので,その後,大気混濁度の監視のための直達日射分光計,全天日射分光計の試作を行った.また,絶対値の検定のための標準光源を作製し,Long methodによる大気外値の外挿と併せて電球による絶対値の検定も可能にした.以上の装置により現在までに得られた資料の中から,第1報としてエーロゾルの消散係数の経年変化とこれに対応して得られる粒径分布の変動について報告する.
    1967年から1975年までの間に東京で得られた消散係数の値は,波長の短い領域では年とともに減少する傾向がかなり明瞭に見られる.これに対し,近赤外域ではそれ程明瞭な減少は見られない.これに対応して,エーロゾル粒子の総数の変化は,小さい粒径の粒子数は年とともに明らかな減少を示し,比較的大きい粒子の総数は,期間中の前半はむしろ増加の傾向を示し,その後明瞭な減少を示している.
    このようなエーロゾルの特性の変動に対応して東京の視程の変動が認められる.3kmあるいは5km以下の悪視程の年間出現数は上記のエーロゾル総数の減少に対応して減少の傾向を示している、1972年以前の視程の変動を見ると,ゆるやかな減少を示しているが,これに対応するエーロゾルの総数は,小粒子(γ〓0.3μm)は減少しているが,大粒子(γ〓0.6μm)は増加の傾向を示している.1973年以後はエーロゾル総数は全域にわたって減少しており,これに対応して悪視程出現数は大幅に減少している.
    以上の解析は,平均値についての対応のみでその詳細な関係はわからない.視程に対するエーロゾルの特性の影響については,個々の場合についての解析を行って,その物理的関係を明瞭にすることが必要である.
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