Papers in Meteorology and Geophysics
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28 巻, 1 号
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  • 嘉納 宗靖, 宮内 正厚
    1977 年 28 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1977年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    最近4年間(1971~1974)の晴天時の札幌,館野および鹿児島における輻射ゾンデによる長波長放射の観測値と計算値との比較をおこなった.
    下向き放射量については,観測値が計算値より,常に大きく,上記3ケ所の観測値の平均値で,観測値は900mbの高度では計算値より約3.6%大きく,そして高度とともにその差は増加し,300mbでは約17.9%大きくなっている.
    上向き放射量については,同じ平均値で,900mbの高度では観測値は計算値より2.7%大きいが,その差は高度とともに減少し,600mbで逆に観測値は計算値より小さくなり始め,300mbで計算値より5.4%小さくなっている.上向き放射量の値は(観測されてない)地表面の条件に左右されるので,観測値と計算値の比較の際,不明な因子が多い.
    これら観測値と計算値の差異は大気下層では,エーロゾルや水蒸気相互衝突による連続吸収帯((H2O)2によると想豫されている)の寄与によると考えられるが,上層では主として輻射ゾンデの測定誤差によると考えられる.
  • 鷺 猛
    1977 年 28 巻 1 号 p. 9-27
    発行日: 1977年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    海水中の硝酸塩,リン酸塩,AOU関係を検討した結果,溶在酸素に依存する酸化性部分ばかりでなく,保存性部分についても直線関係が,あることを見出した,保存性部分の窒素(Nc),保存性部分のリン(Pc)関係はNc=aPc+bで表わされる.太平洋の大部分,特に南極海では,a=15,b=-3.6を示す.
    一方海域によっては,この直線関係から,はずれる場合がある.直線の上側に偏る場合は窒素に富む海水で,下側に偏る場合は,リンに富む海水と云える.直線の上側に偏るのは,170°W線に沿う南極収れん線以南の海域であり,直線の下側に偏るのは,赤道をはさんで,メキシコ沖とペルー沖,および,太平洋の東よりの亜寒帯海域から北緯10°N以北の中層域である.この中,メキシコ沖とペルー沖は,10~15μg・at/l窒素が除かれた結果,リンに富む海水になったと解釈される.太平洋の東よりの亜寒帯海域から10°N以北の中層域では0.3~0.6μg・at/l のリンに富み,170°W線に沿う南極収れん線以南の海域では,5~10μg・at/lの窒素に富むが,今のところ,その理由は,わからない.
  • 鷺 猛
    1977 年 28 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1977年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    海水中の硝酸塩分析法としては,今の処銅,カドミウム還元法が,最もすぐれている.同法を,自動分析計に適用する際の最適条件について述べた.
    今迄に得られた銅,カドミウム還元法による資料を主体に太平洋における硝酸塩分布について整理検討した.
    1)一般に硝酸塩は,表層で少なく,中層で除々に増え,極大層を形成した后,底層に向って漸減する.しかし南極海域では,表層でも高い含量を示し,深さ500m付近に,極大層を形成するが,1500m付近から底層迄,漸減する傾向はない.
    2)光合成層では,鉛直混合,或いは湧昇の卓越している亜南極海以南,亜寒帯,東部赤道付近の海域で高い含量を示し,この海域では,栄養塩の豊富な供給のあることを示唆している.
    3)500m層以浅では,表面海流に影響された東西方向の流れを示す分布傾向があるが,1000m層になると,北東太平洋が高く,南西側が低くなる.
    4)硝酸塩極大層が,40μg・at/lを越える南限は,137°E線上で22°N,155°E線上で18°N,170°W線上で10°N,1460W線上で5°S,90°W線上付近で24°Sで,太平洋の西から東へ移る程南へ延びる.
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