海水中の硝酸塩分析法としては,今の処銅,カドミウム還元法が,最もすぐれている.同法を,自動分析計に適用する際の最適条件について述べた.
今迄に得られた銅,カドミウム還元法による資料を主体に太平洋における硝酸塩分布について整理検討した.
1)一般に硝酸塩は,表層で少なく,中層で除々に増え,極大層を形成した后,底層に向って漸減する.しかし南極海域では,表層でも高い含量を示し,深さ500m付近に,極大層を形成するが,1500m付近から底層迄,漸減する傾向はない.
2)光合成層では,鉛直混合,或いは湧昇の卓越している亜南極海以南,亜寒帯,東部赤道付近の海域で高い含量を示し,この海域では,栄養塩の豊富な供給のあることを示唆している.
3)500m層以浅では,表面海流に影響された東西方向の流れを示す分布傾向があるが,1000m層になると,北東太平洋が高く,南西側が低くなる.
4)硝酸塩極大層が,40μg・at/
lを越える南限は,137°E線上で22°N,155°E線上で18°N,170°W線上で10°N,1460W線上で5°S,90°W線上付近で24°Sで,太平洋の西から東へ移る程南へ延びる.
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