海洋上の接水境界層中における乱流輸送過程を明らかにするために、船上において乱流輸送量 (運動量、顕熱および潜熱) の渦相関法による直接測定を行なった。観測は1974年および1975年の2月に2回にわたって行なわれたAMTEX (気団変質実験) の期間に、東シナ海において啓風丸船上において行なった。
船上において渦相関法を用いる場合、動揺によって生じる見かけの風速成分を補正する必要がある。このため、従来から開発してきた方法 (Mitsuta and Fujitani、1974) を更に改良して適用した。
得られた乱流輸送量とバルクパラメータを比較することによって得られた輸送係数の値は、運動量に対しては1.30×10
-3 (10m高度に換算した値は1.49×10
-3)、顕熱輸送量に対しては1.20×10
-3、潜熱輸送量に対しては1.03×10
-3となっている。運動量輸送係数 (抵抗係数) は弱風域 (4m/sec以下) では、風速が減少するとともに若干増加する傾向にあり、一方、4m/sec以上の領域ではほぼ一定の値となる。顕熱輸送係数は安定状態における値の方が、不安定状態における値より小さくなっている。
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