Papers in Meteorology and Geophysics
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32 巻, 3 号
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原著論文
  • 藤谷 徳之助
    1981 年32 巻3 号 p. 119-134
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     海洋上の接水境界層中における乱流輸送過程を明らかにするために、船上において乱流輸送量 (運動量、顕熱および潜熱) の渦相関法による直接測定を行なった。観測は1974年および1975年の2月に2回にわたって行なわれたAMTEX (気団変質実験) の期間に、東シナ海において啓風丸船上において行なった。
     船上において渦相関法を用いる場合、動揺によって生じる見かけの風速成分を補正する必要がある。このため、従来から開発してきた方法 (Mitsuta and Fujitani、1974) を更に改良して適用した。
     得られた乱流輸送量とバルクパラメータを比較することによって得られた輸送係数の値は、運動量に対しては1.30×10-3 (10m高度に換算した値は1.49×10-3)、顕熱輸送量に対しては1.20×10-3、潜熱輸送量に対しては1.03×10-3となっている。運動量輸送係数 (抵抗係数) は弱風域 (4m/sec以下) では、風速が減少するとともに若干増加する傾向にあり、一方、4m/sec以上の領域ではほぼ一定の値となる。顕熱輸送係数は安定状態における値の方が、不安定状態における値より小さくなっている。
  • 吉川 友章
    1981 年32 巻3 号 p. 135-148
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     大気汚染の短時間内濃度の再現あるいは予測計算のため、時間・空間的に変動する風と拡散パラメータが別途与えられると仮定して、ノンリニヤーの拡散方程式を差分法で解く手法を開発した。差分解法に伴う計算不安定やノイズは、各種の差分を試みた結果から水平移流項にLax-Wendroff法、鉛直移流項に後方差分、水平拡散項に前方差分、鉛直拡散項にClank-Nicolson法を採用することで対処した。同時に時間・空間ステップに対する制約条件も明らかにされた。
     差分モデルの検証は、空間内の風と拡散係数を一様として求めた拡散方程式の解析解と、同じ条件に対する差分解の比較によってなされた。解析解として、無風および微風時にはパフモデル、有風時にはプリュームモデルが使われた。各安定度カテゴリーでの検証結果は、微風時の限られた時間に差分解の濃度パターンがやや幅広くなりすぎた例を除いて、ほとんど実用に耐える精度が示された。
     有風時に風下境界で計算ノイズの波動が発生し、風上に波及する現象がおこったが、風下境界条件を∂c/∂x≈0になるように調整することで消去できた。
  • 木村 富士男, 吉川 友章, 佐藤 純次
    1981 年32 巻3 号 p. 149-154
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     応答速度の早い測定器を用いて、連続発生源の風下数10mでNOx濃度を測定した。バックサンプラーを用いて、長時間平均濃度の鉛直および水平分布も同時に測定した。
     平均プルームの、中心軸上で測定された濃度の確率密度分布はGiffordのfluctuating plume modelとよく一致することが確認された。しかし最大濃度での不連続性はそれほどシャープではない。200秒以下の短時間間隔で平均された濃度の確率密度分布もGiffordのモデルと一致することが示された。
     短時間平均濃度の最大値と長時間平均濃度の比は短時間平均時間が4秒のとき約5であった。この比は平均時間が100秒くらいまでは減少し、それ以上では1に近ずき、平均値時間にはあまり依存しなくなる。
  • 佐藤 純次, 木村 富士男, 吉川 友章
    1981 年32 巻3 号 p. 155-162
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     物質の大気中における拡散を詳細には握するために、応答速度の速いNOxガスをエア・トレーサーとして地上1.5mからの瞬間点源および連続点源の小規模大気拡散実験を風下数10mの短距離で行なった。ここではその実験方法を記述し、また得られたデータの解析結果からパフの風下方向の拡散について論議する。
     種々の濃度分布の形を持ったパフが観測されたが、特に注目されるのは、後方に濃度の尾を引いた形のパフが数例におよんで観測されたことである。一方、風の鉛直シャーがあるにもかかわらず尾を引かないパフも観測されており、数10mの風下距離では拡散過程の初期段階であり、パフのサイズが比較的小さいところからみて、このパフの濃度の尾は風の鉛直シャーに起因するのではなく、乱流構造の特性によるものと推察される。
     風下方向の拡散幅、σxは平均風速から誘導した輸送時間、Tによって表現され
    σx(t)∝T1.1
    が得られた。
  • 杉村 行勇, 前田 勝
    1981 年32 巻3 号 p. 167-171
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     著者らはすでに海水中のウラン分析法として、キレート樹脂を用いるカラム法による分析法を開発し、それを用いて多くの研究を行なった。本報は、船上分析や、大量の海水処理に便利なように、バッチ法による改良法を検討したのでその結果を述べる。海水 1~51 をビーカーにとり、pH 3に調整したのち、キレ一ト樹脂を添加し、攪拌してウランを吸着分離する。ウランの定量にはα同位体希釈法または分光光度法を用いる。この方法による平均回収率は100%で、カラム法による分析結果とよく一致している。本方法は、船上においてもまた実験室においても、カラムの目づまりなどを考慮することなく簡便に使用できることが明らかになった。
  • 高橋 道夫
    1981 年32 巻3 号 p. 173-181
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     地震の発生機構や地震波の伝幡機構、それに地震動に及ぼす局地的な地形、地盤条件の影響を更に詳しく研究するために、高密度の強震観測アレイを展開しようという機運が国際的に高まってきた。そしてそのアレイに用いるべき強震計の性能は周波数帯域 1/20-50Hz、振幅範囲 2mGalo-p-2000Galo-p が望ましいとされている。いわゆるサーボ型加速度計の動作を解析して、それがこのような目的の強震計の変換器にふさわしいものであることがわかった。入手の容易な、市販品のサーボ型加速度計 JA-4(0-500Hz の帯域で ±2000Gal までを測ることができる) と、通常の高感度長周期変換器 PELS との間で比較観測を行い、1978年9月16日のイランの地震 (Ms: 7.4) の表面波の記録に成功した。記録系は両変換器からの出力の特性がほぼ等しくなるように設計してあったので、ほぼ完全に一致する記象を得た。両記象のわずかな違いを JA-4 の分解能不足のためと解釈して、その低周波帯域における加速度分解能は 0.15mGalo-p より悪くないという結論を得た。それゆえこの加速度計は先に述べたような高い性能を有する強震計の変換器として用いることができる。
  • 小長 俊二, 石崎 廣
    1981 年32 巻3 号 p. 183-192
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     9月14日~10月10日の間にSeasat-1高度計により、本州南方海域で7回の観測がなされた。これを9月中、下旬になされた、海上保安庁の拓洋、10月上、中旬になされた神戸海洋気象台、春風丸の海洋観測値から計算された海面の力学的高低図と比較して、絶対値にはやや系統的な偏りがみられるが、変動の傾向は非常によく似ていることを見出した。ジオイドと軌道計算の精度、大気や波による高度の補正をほどこすことにより、これら不確定は除去されるようにみえる。
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