積雲対流をパラメタライズしないモデル (山岬, 1977, 1983など) からの結果にもとづいて、従来のパラメタリゼーションとは異なったモデルをつくり、それを台風3次元モデル (シグマ座標5層、3重格子、最小格子間隔20km) にくみこんで数値実験を行った。
従来の台風モデルでのスパイラルレインバンド (SRB) は重力波の性質をもっていたが、ここで得られた SRBは、パラメタライズしないモデルで得られたメソ対流の性質をもっている。すなわち、雨の蒸発によって冷却した空気と、外からの暖かい湿った空気の相互作用が重要な役割を果している。メソ対流は多くの場合SRBの後端付近で発生して、下層風よりゆっくりと低気圧性に移動する。SRBや他のRBの構造、伝播速度や方向、RBに対する地表摩擦の効果、RBを構成するメソ対流の性質は、台風の発達の時期、強さ、RBの位置によって異なる。地表摩擦の効果を強くうけている SRB内のメソ対流は、その外側からの空気の上昇による対流要素の形成によって長時間維持される。台風強度になる前の時期でのメソ対流の振舞いなどを含めて、得られた多くの結果は、パラメタライズしないモデルからの結果と一致している。
このような結果をもたらすパラメタリゼーションの重要な点および改善すべき点についても述べる。
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