1983年末までの、日本の12地点における
90Sr降下量及び
137Cs降下量の経年変化を報告する。その測定結果から、最近の降下物は主に第26回中国核実験に由来するものであることがわかった。第26回中国核実験による放射性降下物の成層圏滞留時間は約4ケ月で、過去の中国核実験による降下物の成層圏滞留時間 (約1年) に比べて短い値を示す。
降下物の
137Cs/
90Sr比は平均値で2.03となり、その範囲は0.8~6.0を示す。
137Cs/
90Sr比は核実験の直後に減少し、その後徐々に増加する。
日本列島における
90Sr降下量は、総降水量が北から南へむかって増加するのに対して、逆に、北から南へむかって減少する。
水爆実験が行なわれると、翌年の総降下量は増加するとともに、
90Sr月間降下量や月間降水中
90Sr濃度の極大が、通常の季節変化と比べて遅れて出現する。
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