Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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37 巻, 1 号
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原著論文
  • 増田 一彦, 高島 勉
    1986 年 37 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     可視から近赤外域の波長での放射伝達のシミュレーションを行う場合には、海面での反射、屈折の取り扱いが計算精度上重要である。本論文では計算方法としてdoubling-adding法を用いる場合の反射・屈折matrixを等方的Cox-Munk海面モデルを用いて表し、その計算精度を海面でのエネルギ保存に注目して検証した。ただしこの海面モデルでは多重反射・多重屈折の効果は無視してある。波長としては比較的海水の透明度の高い0.5μmを用いた。検証方法としては大気中、海水中におけるquadrature pointの数を様々に変化させて、それらの結果を比較する方法で行った。その結果屈折matrixに若干の補正を加えると比較的point数の少い (15, 24) の場合にも満足する結果が得られた。このことは多大な計算時間と記憶容量が必要な偏光度の計算を含むシミュレーションでは特に重要である。また太陽の天頂角が大きい場合に生ずるshadowの問題を解決する方法を示し、多重反射、多重屈折等による誤差についても若干の検討を行った。最後に大気上端でのアルベド、上向き放射輝度・偏光度の計算結果の例を示した。
  • 葛城 幸雄, 青山 道夫
    1986 年 37 巻 1 号 p. 15-36
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     1983年末までの、日本の12地点における90Sr降下量及び137Cs降下量の経年変化を報告する。その測定結果から、最近の降下物は主に第26回中国核実験に由来するものであることがわかった。第26回中国核実験による放射性降下物の成層圏滞留時間は約4ケ月で、過去の中国核実験による降下物の成層圏滞留時間 (約1年) に比べて短い値を示す。
     降下物の137Cs/90Sr比は平均値で2.03となり、その範囲は0.8~6.0を示す。137Cs/90Sr比は核実験の直後に減少し、その後徐々に増加する。
     日本列島における90Sr降下量は、総降水量が北から南へむかって増加するのに対して、逆に、北から南へむかって減少する。
     水爆実験が行なわれると、翌年の総降下量は増加するとともに、90Sr月間降下量や月間降水中90Sr濃度の極大が、通常の季節変化と比べて遅れて出現する。
  • 加藤 真規子
    1986 年 37 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     鉛直方向拡散パラメータσZは、鉛直方向の拡散の度合を示す量であるから、拡散実験の解析においては、横方向拡散パラメータσYと同様にその値が必要とされる。しかし普通には、放出高が有高である場合、鉛直濃度分布からσZの値を求めるのはσYの値を求めるほどには簡単ではない。
     本報告では、正規型の濃度式について、濃度式のパラメータが異なる数例の無次元濃度分布の計算線図に、実測の鉛直濃度分布を合せ、その中で最も合致する無次元濃度分布のパラメータの値からσZを簡単に算出する方法について述べた。求められるσZの精度は、測定した濃度値と同程度と考えられる。
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