Papers in Meteorology and Geophysics
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37 巻, 3 号
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原著論文
  • 第II部 7月の状態の再現実験
    鬼頭 昭雄, 時岡 達志
    1986 年 37 巻 3 号 p. 145-168
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     気象研究所大気大循環モデル (MRI・GCM-I) による7月の対流圏循環の再現実験を行なった。モデルはTokioka et al.(1985) と同じ5層モデルである。
     モデルは海面気圧、循環場、発散風系や降水等の大規模分布の基本的特徴を良く再現しているが、北半球高緯度帯において系統的な観測との相違を示す。ユーラシア大陸北部やカナダ北部において、蒸発量や降水量が多過ぎ、観測では見られない低圧部が70°N付近に現われている。湿った地面状態、周りの海からの水蒸気の供給、浅い積雲対流生成に好都合な条件や観測より安定度の小さい成層状態が、この領域での雨量が多過ぎる事の原因として挙げられる。南半球では、亜熱帯高気圧、南極の周りの低圧帯や対流圏中層の二重ジェット構造等を良く再現できている。速度ポテンシャルと発散風の場から熱帯域での二つの循環系—太平洋西部と太平洋東部の東西循環及びインド洋上での北東方向から南西方向への循環—が明らかに見られる。非断熱加熱分布の特徴についても示す。
  • 白崎 航一
    1986 年 37 巻 3 号 p. 169-192
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     二次元数値モデルを用いて、局地循環に及ぼす、雲 (積雲) と放射の影響を調べた。モデルには山と海面が含まれている。
     数値実験は以下の四つのケースを比較する形で行う。ケース1はいわば基本モデルであり、地表面温度を予報するために、ネットの放射フラックスを地表面で計算する。しかし、大気中での放射による加熱、冷却、そして雲の影響は考慮に入れていない。ケース2は、地球表面を含む大気各層において放射のネットクラックスを計算するが、積雲対流過程は含まれていない。ケース3は、ケース1と同じであるが、積雲対流過程が含まれている。最後にケース4は、ケース2にさらに、積雲対流、及びその放射過程への影響が評価できるモデルである。
     この四つのケースを用いて計算した結果、雲による、地表面温度及び局地循環への影響がかなり大きいことが示された。
     夜間斜面に形成される、接地逆転層や、地表ごくうすい層で生じる山風を再現させるためには、大気中の各層でネットの長波長放射を見積る必要があること。日中山頂上空に積雲が形成される場合、積雲対流により上昇流は、当然強化されるが、地表面に入射する太陽放射の急速な減少から、循環全体としてはむしろ押えられること。つまり雲は循環に対して、相反する効果を合わせもつこと等が示された。又積雲対流とその放射への影響を見積るケースでは、雲層の気温は周囲より高く、逆に雲層のごく上部、及び雲頂直上の気温は低くなる結果が得られた。さらに、日没後上空に雲が残っていると、結果的に雲は山風の出現をおくらせる役割を果していることも明らかになった。
  • 高島 勉, 高山 陽三
    1986 年 37 巻 3 号 p. 193-204
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
     大気―海洋系モデルによる放射輝度計算結果と NOAA7号衛星搭載のAVHRR放射計の赤外チャンネルによるデータの比較から、成層圏エーロゾルの影響のない場合で、水蒸気量が適量の時、チャンネル3, 4, 5のデータから精度良く海面温度が求まる事がわかった。しかし水蒸気量の多い場合、成層圏エーロゾルの影響のある場合についてはこれら3チャンネルのみの利用では不充分で、可視域のデータの同時利用を試みた。
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