二次元数値モデルを用いて、局地循環に及ぼす、雲 (積雲) と放射の影響を調べた。モデルには山と海面が含まれている。
数値実験は以下の四つのケースを比較する形で行う。ケース1はいわば基本モデルであり、地表面温度を予報するために、ネットの放射フラックスを地表面で計算する。しかし、大気中での放射による加熱、冷却、そして雲の影響は考慮に入れていない。ケース2は、地球表面を含む大気各層において放射のネットクラックスを計算するが、積雲対流過程は含まれていない。ケース3は、ケース1と同じであるが、積雲対流過程が含まれている。最後にケース4は、ケース2にさらに、積雲対流、及びその放射過程への影響が評価できるモデルである。
この四つのケースを用いて計算した結果、雲による、地表面温度及び局地循環への影響がかなり大きいことが示された。
夜間斜面に形成される、接地逆転層や、地表ごくうすい層で生じる山風を再現させるためには、大気中の各層でネットの長波長放射を見積る必要があること。日中山頂上空に積雲が形成される場合、積雲対流により上昇流は、当然強化されるが、地表面に入射する太陽放射の急速な減少から、循環全体としてはむしろ押えられること。つまり雲は循環に対して、相反する効果を合わせもつこと等が示された。又積雲対流とその放射への影響を見積るケースでは、雲層の気温は周囲より高く、逆に雲層のごく上部、及び雲頂直上の気温は低くなる結果が得られた。さらに、日没後上空に雲が残っていると、結果的に雲は山風の出現をおくらせる役割を果していることも明らかになった。
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