雪粒子の落下中の姿勢・振動運動が雲粒捕捉率に与える影響を、模型雪を用いた垂直風洞実験によって調べた。模型雪として直径9mmと5mmの円板を使用した。垂直風洞内にこれらの円板を支持し、傾斜または振動運動を与え、これに微水滴を種々の風速下で衝突させた。
傾斜が捕捉率に及ぼす影響は、円板の前面では微水滴の慣性に依存して変化した。微水滴の慣性に大きい場合、傾斜によって捕捉数は減少し、慣性が小さい場合は、反対に、捕捉数が増加した。捕捉の減少は、円板が傾くことによって起こる有効断面積の減少によって説明できた。捕捉の増加は、傾斜によって起こる円板近傍の流線の変化が原因で、特にカットオフ点付近の小微水滴の慣性を大きくするために、捕捉数が増加することがわかった。捕捉数の増加は、傾斜角が40°~60°の場合に最高で、水平に静置した円板に比べて約7倍大きくなった。
円板の後面捕捉は、一般に、前面捕捉に比べて小さかった。微水滴の慣性が小さくなると、後面の捕捉が相対的に重要となった。傾斜によって後面の捕捉数は減少した。
振動運動が円板前面の捕捉に与える影響は小さく、微水滴の慣性が小さく、運動が激しい場合にのみ現れた。振動運動に伴う捕捉率の変化は、二つの効果で説明できた。比較的ゆっくりした振動運動では、捕捉率の変化は円板の傾斜に伴う捕捉率の時間変化と一致した。振動が強くなると、この時間変化の効果に加えて、運動の効果が現れ、気流に向かう円板の運動成分によって、特に粒径の小さい微水滴の捕捉が増加した。
振動運動によって、後面の捕捉数がいくらか増加する傾向が認められた。この増加の程度は最高で2倍となった。
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