Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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40 巻, 4 号
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原著論文
  • 成瀬 弘, 岡田 菊夫
    1989 年 40 巻 4 号 p. 125-137
    発行日: 1989年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     霧の消散時における雲核濃度と半径0.05~0.25μmのエアロゾル粒子濃度の測定を、つくばにおいて行った。過飽和度0.24~1.24%の雲核濃度とエアロゾル粒子濃度は、霧の中よりも霧の消散後において、増加を示した。霧の消散後に採取した個々のエアロゾル粒子の元素分析をX線分析装置を備えた電子顕微鏡によって行った。定量分析の結果は、大粒子にはSが多く含まれていた。霧の消散時のエアロゾル粒子の半径成長割合は、エアロゾル粒子の半径の増加に比例して増加し、霧粒中の化学反応の重要性を示唆した。
     個々の霧粒の残渣の元素組成を定量分析によって行った。また、霧の消散後の大粒子についても一緒に定量分析を行った。この結果、霧粒の残渣と大粒子のS⁄FeとS⁄Kの重量比は、それぞれ3.5と5.3倍となり、霧粒の残渣の値よりも大粒子のS分の値が非常に大きかった。
     以上の結果から、SO2の酸化は霧粒の中において行われ、霧粒の蒸発が、地上近くの低層大気中における大粒子とCCNの濃度を増加させるように作用することが示唆された。
  • 高谷 美正
    1989 年 40 巻 4 号 p. 139-166
    発行日: 1989年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     対流雲に於ける表面の凹凸の成因と、エントレインメントまたは混合の力学的構造を理解するために、線形不安定理論を提出する。
     雲の内部では、気圧、温度、水蒸気量、雲水量の成層は水平から傾いている。そして静力学的に安定ではないので風が吹いている。
     このような場の中である種の力学的不安定が存在することが示される。これは、鉛直にのみ成層構造があり、静止している湿潤大気において見いだされている条件付き不安定の一般化である。
     雲の中でこの不安定波動が発生すると、雲水量の不均一が生じてそれが雲の凹凸に反映される。
     この不安定波動による熱フラックス、水蒸気フラックス、雲水フラックスを計算すると雲の外側へ向かって正であり、雲が薄められることがわかる。これをもってエントレインメントまたは混合のメカニズムと考える。
     同時にこの不安定理論を用いて、雲内部の渦拡散項に対するモデルが提案される。
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