対流雲に於ける表面の凹凸の成因と、エントレインメントまたは混合の力学的構造を理解するために、線形不安定理論を提出する。
雲の内部では、気圧、温度、水蒸気量、雲水量の成層は水平から傾いている。そして静力学的に安定ではないので風が吹いている。
このような場の中である種の力学的不安定が存在することが示される。これは、鉛直にのみ成層構造があり、静止している湿潤大気において見いだされている条件付き不安定の一般化である。
雲の中でこの不安定波動が発生すると、雲水量の不均一が生じてそれが雲の凹凸に反映される。
この不安定波動による熱フラックス、水蒸気フラックス、雲水フラックスを計算すると雲の外側へ向かって正であり、雲が薄められることがわかる。これをもってエントレインメントまたは混合のメカニズムと考える。
同時にこの不安定理論を用いて、雲内部の渦拡散項に対するモデルが提案される。
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