Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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42 巻, 4 号
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原著論文
  • 細野 耕司, 吉田 明夫
    1992 年 42 巻 4 号 p. 145-155
    発行日: 1992年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     日本列島とその周辺に発生する地震の余震活動の予報可能性について検討した。最初に、大森の公式と Gutenberg and Richter の関係式とから余震発生の危険度関数を導いた。この危険度関数には4つのパラメータが含まれる。それらのパラメータの値を、1969-1990年の期間に発生した47個の地震の余震系列についてそれぞれ評価した。次に、余震系列は非定常 Poisson 過程であると仮定し、パラメータについては47個の地震の余震系列の平均値を用いて、日本列島とその周辺の地震に関する平均的な余震発生確率を計算した。いくつかの地震について、実際に観測された余震活動と予測値を比較したところ、両者の一致はかなり良いことがわかった。予報精度を更に高めるためには、余震発生の危険度関数に含まれる4つのパラメータについて、地震のタイプや地域による違いを考慮に入れる必要があろう。
  • 藤部 文昭
    1992 年 42 巻 4 号 p. 157-180
    発行日: 1992年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     11年間のアメダス資料を使って、関東平野に現れるメソ温暖前線とメソ寒冷前線の統計的な調査をした。ここで言うメソ前線とは幅20~30km以下の気温・風の急変線のことであり、その基準としては、1時間に1.5°C以上の気温変化を伴う風向・風速の変化が8地点以上に現れることを条件とした。この条件を満たす190例のメソ温暖前線と177例のメソ寒冷前線を対象として、発現頻度や形態の季節変化・日変化、総観場との対応関係を調べた。
     メソ温暖前線は低気圧前面の南東風、暖域の南西風あるいは寒気吹き出し時の北西風に伴って現れ、これらが平野部に存在する薄い (数百m以下) 冷気層を侵食していく形態をとる。南東風前線は主に春の温帯低気圧と秋の台風の時に現れ、降水を伴うことが多い。南西風前線は1年を通じて現れるが秋~春に多く、秋~冬は主に南関東に、春~夏は北関東に現れる。北西風前線は12~3月に多く、平野北西部から強い北西風が吹き出してくる時に現れる。降水がある場合を除き、メソ温暖前線は6~12時に最も頻度が高い。
     メソ寒冷前線は一般に寒気吹き出し時に現れるが、北西風以外に北東~東風に伴うものもある。北西風前線は厚い (~2km) 寒気を伴っているが、晩秋~冬にはメソ温暖前線として北上してきたものが寒冷前線となって南下していくことが多く、(1) 先端部では寒気がごく薄い (~200m)、(2) 夜に多い、という特徴がある。一方、春~夏の北西風前線は午後に現れる傾向がある。しかし、春~夏にはむしろ北東~東風前線が平野北東部から侵入してくることが多く、これら (特に東風前線) は (1) 総観規模前線の通過から数時間~半日程度遅れて現れる、(2) 寒気の厚さは1km程度で、しばしば下層雲伴う、(3) 午後に侵入することが圧倒的に多い、などの特徴を持っている。
     これらのメソ前線は低気圧通過前後の暖気・寒気侵入に付随して現れるもので、この意味では前線帯内の現象であるが、天気図に描かれた前線と1 : 1に対応するとは限らず、一般的には基本場の傾圧性と地形効果との複合によってできると考えられる。
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