気候モデルに組み込むことを目的として、生物圏-大気圏相互作用モデル (BAIM) を開発した。BAIMは、最大2層の植生層と3層の土壌層により構成されており、各層の温度及び各層に蓄えられている水分量 (水量及び雪・氷量) を予報変数としている。積雪が存在する場合には、積雪層はその量に応じて最大3層に区分され、各層の温度及び雪量・水量が予報変数となる。本モデルにおいては、C
3植物及びC
4植物の光合成過程を陽に表現することにより、それぞれの植生における生物圏-大気圏間のエネルギーフラックス及び二酸化炭素フラックスを推定することができる。
モデルの基本的な振る舞いを確認するため、草地における微気象観測データを用いて、単独での基礎的な検証を行った。その結果、本モデルの計算結果は、観測とほぼ一致することが確認できた。さらに、モデルで使用しているパラメータの値に関するインパクトテストを行った。それぞれのパラメータの値を±50%変化させた場合の、正味放射量、顕熱流量、潜熱流量及び地中熱流量の平均値の最大変化量は、それぞれ±15W m
-2、±8W m
-2、±9W m
-2、及び±1W m
-2であった。正味の二酸化炭素フラックスの平均値の最大変化量は、C
3植物では ±5μmol m
-2 s
-1、C
4植物では±7μmol m
-2 s
-1であった。これらの変化量の程度は、観測誤差とほぼ同程度である。
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