Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
47 巻, 3+4 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原著論文
  • 馬淵 和雄, 佐藤 康雄, 木田 秀次, 三枝 信子, 及川 武久
    1997 年 47 巻 3+4 号 p. 115-140
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     気候モデルに組み込むことを目的として、生物圏-大気圏相互作用モデル (BAIM) を開発した。BAIMは、最大2層の植生層と3層の土壌層により構成されており、各層の温度及び各層に蓄えられている水分量 (水量及び雪・氷量) を予報変数としている。積雪が存在する場合には、積雪層はその量に応じて最大3層に区分され、各層の温度及び雪量・水量が予報変数となる。本モデルにおいては、C3植物及びC4植物の光合成過程を陽に表現することにより、それぞれの植生における生物圏-大気圏間のエネルギーフラックス及び二酸化炭素フラックスを推定することができる。
     モデルの基本的な振る舞いを確認するため、草地における微気象観測データを用いて、単独での基礎的な検証を行った。その結果、本モデルの計算結果は、観測とほぼ一致することが確認できた。さらに、モデルで使用しているパラメータの値に関するインパクトテストを行った。それぞれのパラメータの値を±50%変化させた場合の、正味放射量、顕熱流量、潜熱流量及び地中熱流量の平均値の最大変化量は、それぞれ±15W m-2、±8W m-2、±9W m-2、及び±1W m-2であった。正味の二酸化炭素フラックスの平均値の最大変化量は、C3植物では ±5μmol m-2 s-1、C4植物では±7μmol m-2 s-1であった。これらの変化量の程度は、観測誤差とほぼ同程度である。
  • 青木 輝夫, 青木 忠生, 深堀 正志
    1997 年 47 巻 3+4 号 p. 141-156
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/10/20
    ジャーナル フリー
     積雪粒子による多重散乱をdoubling法で計算するときのMie位相関数に対する4種類の近似法について調べた。これらの近似法はHansen及びGrantによる2種類の“renormalization法”、“delta-M法”、“direct truncation法”である。4つの方法の比較は、積雪アルベドを積雪粒子の有効半径50, 200, 1000μm、波長域0.3~3.0μmに対して計算し、delta-Eddington近似をreferenceとして用いて行った。Hansenの“renormalization法”の場合、粒子の有効半径1000μmの積雪に対し、太陽天頂角が小さいときにアルベドの最大誤差が0.1以上になった。“delta-M法”によるアルベドは、粒子の有効半径1000μmの積雪に対し、1.4μm以下の波長域において、全ての太陽天頂角で過少評価となった。これは計算に用いたMie位相関数のlook-up tableの前方散乱角の分解能が不十分(その分解能は散乱角2°以下の前方散乱ピークの領域で0.1°)であったためである。そこで位相関数の散乱角10°以下の領域の分解能を10倍に上げたが、粒子の有効半径1000μmの積雪に対し、0.6μm以下の波長域では十分な精度は得られなかった。3つの粒径に対し、全波長域で満足できる結果は、Grantの“renormalization法”と“direct truncation法”によって得られた。これらの方法では前方散乱ピークの領域で0.1°の分解能を持つ位相関数でも十分な精度が得られるため、計算時間及び計算機のメモリーという点からも経済的である。さらに、“direct truncation法”の場合、位相関数の前方散乱ピークの切断角が、5°~20°の範囲であれば、計算結果に対してほとんど影響がないことがわかった。
feedback
Top