Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
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51 巻, 1 号
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原著論文
  • 勝間田 明男
    2000 年 51 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     地震モーメントは重要なパラメータであり、規模や地域について広範囲の地震に関して推定されることが望まれる。南関東地域の100kmまでの深さで起きているマグニチュード3程度からの比較的規模の小さな地震の地震モーメント及び断層パラメータを、広帯域地震計及び加速度計により得られた波形データに基づき推定するためのX-windowのプログラムを開発した。グラフィックによる操作の導入により、周波数帯域の調整や観測波形と理論波形の時間のずれの調整などが容易となり、ルーチン的な処理を行なう上で便宜が図られた。ツールには手動によるパラメータ推定を採り入れた。理論波形との比較には、震源から100km以内で観測された実体波を用い、コーナー周波数よりもわずかに低周期の周波数成分を使用した。理論波形の計算時間を短縮するために、予め各モーメント成分ごとのグリーン関数を計算して蓄えておく方法をとった。ここではMw=3.5~6.1の地震の震源パラメータを推定した。観測点の分布等によっては、わずかの時間のずれにより、断層パラメータが大きく変わってしまう場合も見られた。
  • 1998年パプアニューギニア津波の場合
    谷岡 勇市郎
    2000 年 51 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     遠地津波の数値計算では波数分散効果を無視できない。Imamura (1990) は線形長波理論を差分法で計算する場合に発生する数値分散を物理的な波数分散と同じくする事により、線形長波の式を解きながら波数分散効果を取り入れる方法を紹介した。この方法は巨大地震により発生した津波の数値計算に広く一般に使われている。しかし、この方法は大きな格子間隔を必要とし、M7クラス以下の地震により発生する津波には適用できない可能性が高い。本稿では、1998年パプアニューギニア地震 (Mw 7.1) により発生した津波を計算するために、波数分散項が入った線形Boussinesq式を陰的差分法を用いて解く方法を開発し、津波の数値計算を行なった。比較のため、Imamura (1990) による方法を用いた計算も行なった。房総沖の海底津波計での波形を比較した結果、津波波形、特に津波の後続波、を正確にモデルするためには線形Boussinesq式を使う必要がある事が分った。また、房総沖海底津波計で観測された津波は海嶺波と呼ばれる波で、伊豆・小笠原諸島近くの浅海を伝播しながら大きくなった波が、第1波より1時間近く遅れて観測されたものである事が確認された。
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