地震モーメントは重要なパラメータであり、規模や地域について広範囲の地震に関して推定されることが望まれる。南関東地域の100kmまでの深さで起きているマグニチュード3程度からの比較的規模の小さな地震の地震モーメント及び断層パラメータを、広帯域地震計及び加速度計により得られた波形データに基づき推定するためのX-windowのプログラムを開発した。グラフィックによる操作の導入により、周波数帯域の調整や観測波形と理論波形の時間のずれの調整などが容易となり、ルーチン的な処理を行なう上で便宜が図られた。ツールには手動によるパラメータ推定を採り入れた。理論波形との比較には、震源から100km以内で観測された実体波を用い、コーナー周波数よりもわずかに低周期の周波数成分を使用した。理論波形の計算時間を短縮するために、予め各モーメント成分ごとのグリーン関数を計算して蓄えておく方法をとった。ここでは
Mw=3.5~6.1の地震の震源パラメータを推定した。観測点の分布等によっては、わずかの時間のずれにより、断層パラメータが大きく変わってしまう場合も見られた。
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