Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
51 巻, 2 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原著論文
  • 金久 博忠
    2001 年 51 巻 2 号 p. 39-46
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     2次元のセミ地衡風系のイーディー波に熱強制 (負の熱強制すなわち冷却) を導入する。この強制の結果、渦位は正の定数値へと (ニュウートン的に) 減衰する。熱強制によって、或る範囲の波数を持つイーディー波は、遠い未来に、不安定化される (断熱の場合と比べて、成長率が大きく成る)。しかし、およそ [t] (現象の時間スケール) の2倍迄の初期の期間は、安定化の効果が卓越する。不安定化の効果がはっきりと出てくるのは、3[t]~4[t]の時間が経過した後である。
  • モデル気候とその変動性
    行本 誠史, 野田 彰, 鬼頭 昭雄, 杉 正人, 北村 佳照, 保坂 征宏, 柴田 清孝, 前田 修平, 内山 貴雄
    2001 年 51 巻 2 号 p. 47-88
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/25
    ジャーナル フリー
     気象研究所において新しい全球大気海洋結合モデル (MRI-CGCM2) を開発した。モデルは、人為起源の強制に関する気候変化を探ることを主な目的としている。旧バージョン (MRI-CGCM1, Tokioka et al., 1996) の欠点を改善し、より現実的な気候とその変動制を再現し、より高精度の気候変化予測を行うことを目指した。モデルの基準実験の予備的な解析において、モデルは全般的に、地上気温、降水、積雪、海氷および海洋の構造と循環などの代表的な要素について (季節変化を含む) 平均気候値をうまく再現している。特に、海氷の分布は大きく改善し、観測される海氷の広がりと厚さに近づいた。モデルは、北大西洋において、MRI-CGCM1ではうまく表現されていなかった現実的な強さの子午面循環を表現している。また、モデルは北極振動 (AO) やENSOのような変動も現実的に再現している。NINO3 (150°W-90°W、4°S-4°N) 領域における海面水温偏差の時系列は、数年おきに大きな正の値 (最大+4°C) を示す。海面水温偏差のパターンは観測されるエルニーニョに似て、中東部赤道太平洋に強い正の偏差を伴っている。現在、モデルはまだいくつかのバイアスを持っている。冬季の高緯度において、大気境界層の安定度が弱く、地上気温が高めとなるバイアスがある。また、水文過程の問題に関連して、夏季の大陸上で、気温が高くなりすぎるバイアスがある。
feedback
Top